「シングルマザーは苦労していない」という杉田議員の主張
なにしろこの国では、シングルマザーに対する偏見が国会議員の中にすら存在する。その代表が、「LGBTは生産性がないので税金を使う必要がない」という主旨の文章を発表したことで問題となった、杉田水脈・衆議院議員(自民党)だ。
杉田議員は、今回問題になった文章が発表されたのと同じ雑誌『新潮45』の17年9月号で、「シングルマザーをウリにするな」というタイトルの文章を掲載している。
そのなかでは、「都民ファーストの会」が圧勝した東京都議会戦の中にシングルマザーを売りにした議員が複数いたことや、同じくシングルマザーの元SPEED・今井絵理子・参議院議員などを引き合いに出しながら、「多くのシングルマザーは親の手を借りて子育てをしているから、そんなに苦労していない」という主張を展開。
一部の豊かなシングルマザーのことばかり取りあげて、貧困に苦しんでいる母親のことにはまるで関心を持たない。
「シングルマザーの選択は自己責任」「権的な主張」
さらに杉田議員は、次のような主張まで展開するのだ。以下、引用する。
《暴論と言われるかもしれませんが、離別の場合、シングルマザーになるというのはある程度は自己責任であると思うのです。前述のようにDVなんて場合もあるかもしれませんが、厳しいことを言うと「そんな男性を選んだのはあなたでしょ!」ということに終始します。》
《「私はシングルマザーなんだから」と特権的に言う人の気持ちが私には全く分かりません》
国を代表する国会議員、しかも女性にしてこの認識である。誰も好きでシングルマザーになろうとして、最初から子どもをつくるわけではあるまい。
さまざまな状況の巡り合わせの結果、そのような立場に置かれているのに、それを自己責任だと切って捨てるなら、いったい政治家とは何の意味があって存在しているのだろうか。
今回5000人規模のデモまで起こるほど問題になったLGBTをめぐる発言について、自民党は杉田議員を指導。議員は「真摯に受け止め、研鑽に努めていきたい」とコメントした。
いったい、この国の政治家は社会保障に対してどう考えているのか、それを知るためのひとつの判断材料として、杉田議員の発言にはこれからも注目していきたい。
(文=編集部)