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【連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」第24回】

辛いものを食べると頭痛が起こる? 催涙スプレーや新しい片頭痛治療薬の開発にも注目

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辛いものを食べると頭痛が起こる?(depositphotos.com)

 いよいよ夏本番になってきました。太陽が照りつけ、汗が出てくる。そんな夏だから辛いカレー、担々麺、さらに「激辛○○」などを食べて、さらに汗を出す。最近では特に、このような辛い物を食べて、元気、暑さ、ストレス負けしない方法が、マスメディアでも取り上げられていると思います。みなさんも夏本番の暑さに負けないためにも、一番と考えているかもしれません。

 そこで今回は、頭痛とも関連しているといわれている、痛みのレセプターと辛い物との関係についてお話ししたいと思います。

辛みの正体であるカプサイシン

 カプサイシンとは、トウガラシの辛み成分とされている物質です。このカプサイシンがあると、口腔、咽頭、食道などの神経の受容体(カプサイシンの受容体)が刺激されます。この神経刺激は、しばしば痛覚として感じることが知られています。特に片頭痛との関連を示唆されているカプサイシンの受容体(後述)のグループが知られています。

 このカプサイシンは、この受容体を介して神経刺激作用を起こします。敏感な人は皮膚や粘膜に付くとその部分がひりひりとした痛みを感じたりすることがあります。

 これらの作用を応用して、空中に噴霧することで催涙スプレーに使用したり、カプサイシン軟膏として手足の神経の痛みを改善したり、誤嚥性肺炎の防止に高齢者の嚥下反射の障害を改善させる方法が知られています。

 実際、好みがありますが、カプサイシン入りトローチも発売されています。ただ食べ過ぎると胃がんや胃潰瘍などとの関連も指摘されており、食べる量や回数を調節して節度を守ることも重要です。

西郷和真(さいごう・かずまさ)

近畿大学病院遺伝子診療部・脳神経内科 臨床教授、近畿大学総合理工学研究科遺伝カウンセラー養成課程 教授。1992年近畿大学医学部卒業。近畿大学病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、
2023年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。

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