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【インタビュー「インプラントトラブルの実態」後編:日本橋インプラントセンター所長・玉木仁氏】

インプラント治療で失敗しないために良心的な歯科医を見分けるポイント

レントゲンの撮り方で見えてくる歯科医の診察姿勢

 「インプラント周囲炎などのトラブルを起こさず、インプラントの良好な長期経過をとりたいという先生は、資料として細かいレントゲンをたくさん撮っています。それが『デンタルレントゲン(10枚法)』です。上下左右の歯を10分割してレントゲンを撮影するもので、1枚で全体を撮影するパノラマ写真より、細かいところまではっきり正確に写ります。初診時から経過までこれを常時撮っている歯科医院はお勧めですね」

 確かに、正しい診断を下すためには、歯の状態が正確にわかるレントゲン写真は不可欠だ。だが多くのクリニックでは、1枚で全体が撮影できる「パントモ」と呼ばれるパノラマレントゲンを診断の基準に使っている。
「これでは細かいところ、専門的には咬み合わせで大事な歯根膜腔の拡大まで判読できません」
 「常時『デンタルレントゲン(10枚法)』を使っている歯科医は、20分の1くらいしかいないと思います」と玉木所長は話す。

 これは保険制度の問題もあり、大きなレントゲンに加えて小さなレントゲンを10枚撮っても、保険請求できないからだという。

 「しかし、考えてみて下さい。インプラントは元々自費治療なんです。きちんと治療したいと思う先生は、細かい部分まで正確に写る、小さなレントゲンを撮りたがります。それが診断の基準になるんですからね。1枚を撮るより10枚撮影するほうが、時間も手間もかかりますが、患者さんのことを考えて、その手間を惜しまない歯科医は、良心的と言えるんじゃないでしょうか」 
(取材・文=岡崎 亨)


玉木仁(たまき・ひとし)
1960年、新潟県生まれ。歯学博士(東京医科歯科大学)。1990年代初頭にインプラント治療に出会い、インプラントこそが健康な歯を削らずに済む「予防」を兼ね備えた治療法だと確信。以後、インプラント治療と研究に邁進してきた世界最先端のインプラント技術を修得している国内有数の歯科医。国際インプラント学会専門医・指導医。日本口腔インプラント学会専門医。アメリカインプラント学会アクティブメンバー。欧州インプラント学会アクティブメンバー。ニューヨーク大学インプラント科CDE修了。ベルン大学、チューリッヒ大学、ハーバード大学、UCLA、ペンシルバニア大学の各大学インプラント学科アドバンスコース修了。東京・八重洲の「日本橋インプラントセンター」所長。著書に『1万本を治療した名医が実証した長生きインプラント』(ユサブル)がある。

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