脂質と糖質を多く含む食品は食欲を「ハイジャック」
この結果についてSmall氏は、「脳内の報酬系は単純にカロリー量の増加に応じて活性化するわけではないことが分かり驚いた」と話す。
また今回の研究では、脂質が多い食品のカロリーを推測できる人は多いが、糖質が多い食品のカロリーを推測できる人は少ないことも明らかになった。
このことから同氏は「多くの人は、脂質と糖質の両方を含む食品から正確にカロリーを推測することは難しいと思われる」と述べている。
Small氏は、脂質と糖質を多く含む食品は、ヒトの食欲を司るシグナルを「ハイジャックする」と表現する。
「現代人が食べるほとんどの食品は、脂質と糖質の両方を多く含んでいる。こうした食品は、母乳を除けば自然界には存在しない」
「現代的なこれらの食品が脳内の報酬系のシグナル伝達をより増強するのなら、肥満や糖尿病が蔓延していることの説明がつく可能性がある」との見方を示している。
専門家の一人で米レノックス・ヒル病院肥満外科部長のMitchell Roslin氏は、この研究結果についてこうコメントしている。
「食べ過ぎに気づかずに、スナック菓子を一袋食べてしまう理由となるものだ。消費者には、自分の空腹感や満腹感に従うのではなく、適切な食品を選ぶように啓発する必要がある」
また米ロサンゼルスの管理栄養士であるMascha Davis氏は、「ドライフルーツやナッツなどを含む健康に良いおやつを常備しておけば、脂質と糖質を同時に摂取でき、満腹感も得られる」とアドバイスしている。
(文=編集部)