今年4月にアトピー性皮膚炎の新薬が発売
重症のアトピー性皮膚炎を完治する道は遠いかもしれない。だが、希望を捨ててはいけない。
アトピー性皮膚炎の新薬が今年(2018年)4月23日に発売された。新薬はフランス製薬大手サノフィの「デュピクセント」(デュピルマブ)。「デュピクセント」は、化学合成した成分を使わず、抗体タンパク質を使っている。15歳以上で症状が重く、ステロイドなどで治療効果が弱い人が対象だ。
新薬は、アレルギー物質に過剰に反応するTh2細胞が大量に放出するタンパク質のインターロイキン4(IL-4)やインターロイキン13(IL-13)の炎症反応を防ぐため、炎症を抑える作用が強い。
ただ、アレルギー性結膜炎や頭痛などの副作用があり、ぜんそくを合併している患者は、気管支拡張薬の使用を中断すると急激にぜんそくの症状が悪化する恐れがある。
気になる薬価だが、初回600mg、2回目以降300mgを2週間ごとに注射すると、2回目以降が1回8万1640円。保険診療のため1~3割負担。継続すれば負担は小さくないのは悩みだ。
アトピー性皮膚炎の患者はおよそ45万6000人
厚生労働省の2014年の調査によれば、アトピー性皮膚炎の患者数はおよそ45万6000人。子どもだけでなく、大人も多い。
九州大学の中原剛士准教授が昨年8月に行った意識調査によれば、発症によってQOL(生活の質)が悪化した人は86%、精神的なダメージを受けた人は79%に上る。
炎症を抑えるステロイドやタクロリムスの塗り薬を使う薬物療法か、入浴や保湿剤を塗るスキンケアか、ダニ、ほこり、カビなどのアレルギー物質の除去か。
選択肢は限られるものの、完治へのチャレンジは続いている。
(文=編集部)
*参考:ヨミドクター「アトピー性皮膚炎」の新薬発売(2018年5月6日)
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180501-OYTET50016/