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【 シリーズ「本能で楽しむ医療ドラマ主義宣言!」 第21回】

二宮和也主演『ブラックペアン』第9話 ロボットの利点を使いこなす離れ技

「血圧安定しています!」は、実はショック状態だった!

 高階先生の頭にニノの言葉が入り、言葉がニノ化したのは面白すぎました!結局オペの上手な外科医はロボット操作も上手ということでしょうか? 「一流の外科医が一流の機械を操作する」と表現されていましたが、今までの人orロボット、という問いにうまい答えを導いてくれた気がします。ここにきてやっとロボットの利点を使いこなし、オペが無事成功したのも私としてはうれしい流れでした。

 それにしても、今回の僧帽弁こそスナイプではだめだったのでしょうか? そして、人工心肺をつなぐなら開胸して30分ほどでオペを終わらせることができたのでは? 左内胸動脈を左前下降枝につなぐオペは普通に行われているオペです。

 ドラマとはわかってはおりますが、そんなにお騒ぎしないで外科医なんだから開胸しようよ!と、思わずテレビに向かって叫んでしまいました(笑)。

 佐伯教授のオペの成功を表現した、麻酔科医の最後の言葉、「血圧安定しています!」の時には、後ろのモニターでは収縮期血圧62、拡張期血圧31しかありませんでしたよ~(笑)!低すぎます!いわゆるショック状態ととらえてしまう血圧です!ここまではこだわりませんかね(笑)。

 毎回最後は結果をだすニノ! 毎回書いているような気もしますが、不言実行がカッケー! そしてニノがカエサルを操作する絵がどうしてもゲームをしているニノに見えてしまったのは私だけでしょうか?

 皆が本来の自分を取り戻し、仕事の本来の意味を思い出した回でした。ひとつの命を諦めない、できることは全部やりたいといった世良(竹内涼真)。そして論文の本来の存在意義も明確に公言してくれてすっきりしました! 

 医師がインパクトファクターばかり気にしているブラックペアンの最終段階でのこの世良の言葉にはうれしく思ってしまいました。実際、医師はしょっちゅう医学論文を検索し読んでいます。医学は日進月歩ですので、我々も日々、頭の中をアップデートしていかないと治療がどんどん変わってしまうのです。

 今は「医中誌」や「PubMed」などで簡単にネット検索もできますが、もっともっとと思うと、そういった検索体制の整った病院なり大学に行かないといけません。開業医にとってはつらいところです。

 さて、いよいよ来週は最終回です。すべての謎が解けてすっきりしたい!本当にニノの父親が医療ミスを起こしたのか? 佐伯教授の謎は? ニノは誰のオペをするのでしょうか?

 ニノが最終回の内容に不満を持っていて、変えようとしていると話していたそうですが……。そして、私はニノの最後の口の動き全く読めませんでしたが、大きな意味を持つのでしょうか? 
(文=井上留美子)


二宮和也主演『ブラックペアン』第9話 ロボットの利点を使いこなす離れ技の画像2

井上留美子(いのうえ・るみこ)
松浦整形外科院長
東京生まれの東京育ち。医科大学卒業・研修後、整形外科学教室入局。長男出産をきっかけに父のクリニックの院長となる。自他共に認める医療ドラマフリーク。日本整形外科学会整形外科認定医、リハビリ認定医、リウマチ認定医、スポーツ認定医。
自分の健康法は笑うこと。現在、予防医学としてのヨガに着目し、ヨガインストラクターに整形外科理論などを教えている。シニアヨガプログラムも作成し、自身のクリニックと都内整形外科クリニックでヨガ教室を開いてい。現在は二人の子育てをしながら時間を見つけては医療ドラマウォッチャーに変身し、joynet(ジョイネット)などでも多彩なコラムを執筆する。

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