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【シリーズ「傑物たちの生と死の真実」第30回】

明治天皇の死因は尿毒症?糖尿病?「替え玉説」も 真相は宮内庁の機密文書に

いま天皇家の「菊の御紋」が揺れに揺れている?

 激動の幕末期に満14歳で即位、絶対主義的な天皇制集権国家を完成しつつ、文明開化、富国強兵、殖産興業を高らかに掲げる明治維新を推進した立役者である明治天皇――。以来150年、天皇家のシンボル「菊の御紋(菊花紋章)」が、いま揺れに揺れている。

 今上天皇(明仁天皇)の退位と皇太子徳仁親王(新天皇)の即位に伴う儀式をいつ、どのように行うかの喫緊の難題が棚上げのままだからだ――。今上天皇は2019年4月30日に上皇に退位。翌5月1日に元号が改まると、新天皇は三種の神器を引き継ぐ「剣璽等承継の儀(けんじとうしょうけいのぎ)」などを執行。その後、10月に即位を国内外に公言する「即位礼正殿の儀」を行う。

 報道によると、宮内庁は政府が今秋に「式典委員会」を設置すれば、庁内に委員会を立ち上げ、儀式の詳細を検討するという。だが、即位の儀式への国民の疑念に対して、政府の方針も答弁も一向に定まらず、結論を先延ばしにしている。

 今上天皇(明仁天皇)の退位と皇太子徳仁親王(新天皇)の即位に伴う儀式の議論が熱い。ただ、日本人が終生、胸に刻むべき記憶と教訓がある。

 明治から大正、昭和に至るほぼ1世紀。欧米列強との緊迫した政治事情も、軍部の策謀・暗躍を許した政治状況も、国民や世論の翼賛ムードもあった。しかし、明治・大正・昭和の歴代天皇らがうち振った「菊の御紋」「錦の御旗」の大義名分が、世界幾百万もの無辜の尊い生命を奪った事実だけは、ゆめゆめ忘れてはならない。

 5月3日は憲法記念日、大日本帝国憲法の時代に想像力を働かせてみるのも必要だ。

*参考
『明治宮殿のさんざめき』米窪明美
『女官 明治宮中出仕の記』山川三千子
宮内庁
全国腎臓病協議会

佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。

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