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【シリーズ「AIと医療イノベーション」第24回】

「IoT」を医療やヘルスケアに特化した「IoMT」は未来の医療を激変させる

コスト削減、治療効果や疾病管理対策の改善、医療ミスの抑制

 ジェトロ・ニューヨーク事務所が作成した「米国の病院におけるIoTの活用状況/2017年5月26日JETRO/IPA New York)によれば、IoMTの導入メリットは5点に要約できる。

第1点、医療コストの削減
自宅にいながら、リアルタイムで患者の病状のモニタリングを行えるので、医師による診療訪問の手間を大幅に軽減しつつ、入院や再入院のコストを削減できる。

第2点、治療効果や疾病管理対策の改善
患者の病状を継続的にモニタリングし、健康に関するデータをリアルタイムで得られるため、タイムリーに適切な医療ケアを提供しながら、病状の悪化を予防できる。

第3点、医療ミスの抑制
患者の医療・健康データに基づく意思決定と医療業務の自動化・効率化を実現するので、人為的な医療ミスを最少限にコントロールできる。

第4点、患者経験の改善
IoMTによる医療ケアは、予防治療や正確な診断、タイムリーかつ適切な医療ケア、責任ある医療サービスを提供できるため、患者の厚い信頼を得ることができる。

第5点、薬剤管理の効率化
IoMTを用いてプロセスを自動化するので、薬剤管理にかかる業務を効率化できる。

 特に、米国の病院は、医療コストの削減に努めるためにIoMTの導入を急いでいる。なぜなら、高騰し続ける医療費に対する規制が日々経営を締め付けているので、医療サービスの効率性と有効性を高めるIoMTを積極的に活用する経営的なインセティブが強く働きやすいのだ。

 たとえば、2010年3月に成立した「オバ マケア」(医療制度改革法:ACA)は、再入院する患者の比率の高い病院にペナルティを科している。

 退院後の患者の健康状態を維持するために、医療関係者が様々なデータを基に医療サービスにかかる時間やコストを削減しながら、病院は、医療ケアの質向上につながるIoMTソリューションへ向かわざるを得ない差し迫った状況があるのだ。

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