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不妊治療の最新知見 子宮内フローラから卵巣凍結まで高度生殖医療(ART)を知る

不妊治療の最新知見 子宮内フローラから卵巣凍結まで、高度生殖医療(ART)を知るの画像1

最新の情報も得られる妊活セミナー(depositphotos.com)

 10組のカップルのうち2〜3組は不妊で悩んでいるとされる現代。結婚年齢が高くなり、妊娠・出産を考えるのが、妊娠率が低下し始める30代半ばを過ぎてからという事情が、その背景にあるのかもしれない。

 そんな状況下にあって、不妊治療を考え始めたカップルが、まず足を運ぶのが、さまざまな医療機関で開かれている「妊活セミナー」だ。先進的な取り組みで高い妊娠率を誇る、京野アートクリニック高輪(東京都港区)の妊活セミナーの内容を最新の知見も含めレポートする。

聴講者の9割はカップルで参加

 妊活セミナーというと「参加者の大半は女性では?」と想像していたが、会場に詰めかけたのは、30〜40代のカップルがほとんど。「不妊の原因は男女で半々」というのが知られるようになったからかもしれない。セミナーのプログラムは、京野廣一理事長のお話が40分、質疑応答が20分という構成。男性からも質問が盛んに飛んでいた。

 京野アートクリニックは、1995年に仙台で不妊治療の専門医療機関として診療を開始。これまでに1万人以上の妊娠/出産を手がけている。またJISART(日本生殖医療補助医療標準化機構)から、一定の水準を満たしている高度生殖医療(ART)を提供していると認定をされているのも大きな特長だ。

 日本ではARTを実施している医療機関は574あるが(2014年、日本産科婦人科学会調べ)、JISARTから認定を受けているのは30施設にすぎない。不妊治療を手がける医療機関のレベルには、それだけバラツキがあるのかもしれない。

世界で初めて体外受精により産まれた女性

 セミナーの冒頭では、1978年に世界で初めて、体外受精により産まれたルイーズ・ブラウンという女性の紹介があった。ルイーズさんは、28歳のときに自然妊娠により子どもを授かっており、体外受精により生まれた子どもの妊娠する力には問題ないことが証明された。

 そして「タイムラプス・インキュベーター」が、全ての人に利用できるようするための説明が続く。

 タイムラプス・インキュベーターとは、体外で受精させた受精卵(胚)を育てる、最新型の胚培養器のこと。受精卵継続培養観察システムともいう。タイムラプスは、培養器の扉を開かなくても15分おきに胚の様子を撮影・観察できるため、温度変化やPH変動といった胚にとってのストレス要因を低減することができる。

 またタイムラプスの撮影記録により、胚の成育過程からも良好胚を選択することが可能だ。このタイムラプスを導入している医療機関はそれほど多くなく、このクリニックのように全員が利用できるというのは、少しでも妊娠率を上げたい患者さんにとっては朗報である。

 さらに、検査培養器で育てた良好胚を子宮に移植しても、なかなか着床しないケースがある。その主たる原因としては、胚の染色体異常が考えられる。その他にも「移植するタイミングあってないのでは?」ということが原因としてあることが分かってきた。このタイミングを俗に「着床の窓(ウィンドウ)」と呼んでいる。この窓が開いていないと、いくら良好胚を移植しても着長には至らない。

 着床のタイミングがあっているかどうかを調べる検査が「子宮内膜受容能検査(ERA)」だ。検査結果では25%の患者さんで「非受容的」、つまり胚移植の予定日に子宮内膜が受精卵を受け入れる状態になかったという。医師の経験と勘に頼る部分が大きかった移植のタイミングだが、なかなか着床しない場合には、ERAを受けて着床の窓がいつ開いているのかを調べてみるのもいいかもしれない。

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