「いびき」は認知症・糖尿病・心臓病のリスクが高まる(depositphotos.com)
「高鼾をかく」とは、ぐっすりと眠ることをいう。
しかし実際は、いびきをかいて寝ていると、ぐっすりとは眠れておらず、体によくないことが多い。特に、断続的にいびきを激しくかき、昼間は強い眠気に襲われる睡眠時無呼吸症候群は、注意が必要だ。
『スター・ウォーズ』レイア姫の死因にも
映画『スター・ウォーズ』シリーズで、ヒロインのレイア姫を演じたキャリー・フィッシャーさんが、2016年12月27日に亡くなった。享年60歳。ロンドンからロサンゼルスに戻る飛行機の中で心臓発作を起こし、病院で手当てを受けたが、息を引き取った。
フィッシャーさんの死因については、約半年後の2017年6月16日にアメリカのロサンゼルス検視局が「睡眠時無呼吸症候群が死因のひとつ」と正式に発表し、あらためてこの病気が注目されている。
「睡眠時無呼吸症候群」は、断続的に大いびきをかきながらも、そのいびきが突然止まり、しばらくしてから再開するという特徴がある。自分では睡眠時間が足りているように思うが、眠りが浅いため昼間猛烈な眠気に襲われる。
脳が酸素不足になり認知症の一因にも
2017年の11月14日放映の『名医とつながる!たけしの家庭の医学』(朝日放送)では、「いびきをかいて眠るこの睡眠時無呼吸症候群が『認知症』を招く」と特集された。なぜ、睡眠時無呼吸症候群の人は、認知症になるリスクが高まるのだろう?
体は寝ている間も、酸素を必要としている。それなのに、酸素の供給が一時的に止まってしまうのだ。しかも断続的に何度も。これが脳にダメージを与えてしまう
睡眠時無呼吸症候群は、認知症のリスクを高めるだけではない――。
私たちの体は、生命の危機を感じるとその危機を乗り越えようとする。一瞬でも呼吸が止まると、体は危機を感じて「緊急モード」になる。
つまり、アドレナリンを分泌し、血圧を上昇させ、心拍数を上昇させる。それが何度も繰り返されることで、高血圧、糖尿病、心臓病、心臓発作、脳卒中リスクが、ぐんと高くなってしまうのだ。
男性の42.5%、女性の33.8%「いびきに悩んだことがある」
寝具メーカーのフランスベッドが11月15日に「いびきに関する実態調査」を発表した。これは20代~60代の男女1000人を調査したものだ。
結果は、「いびきで悩んだことがある」というのが男性42.5%、女性33.8%。男性では「約半分」、女性でも「3人に1人」は、いびきに悩んだことがあるという。そして、86.1%の人が誰にも相談していない。
さらに、いびき対策は、何もしていない人が47.2%。約半数は何も対策をしていない。その理由は「何をしたらいいのかわからない」が65.0%だった。
この結果を受けて、札幌徳洲会病院循環器内科の後平泰信医師は、「<いびきは病気のサイン>ということが、まだまだ認知されていない。いびきは対策をすれば改善を見込めるので、医療機関を受診するなど、積極的にいびきを改善するように行動することが大切」と言っている(出典:フランスベッドホールディングス株式会社「いびきに関する実態調査」)。