求む!? 似たような悩み、苦しみを味わったボランティア
なぜ「いのちの電話」の相談員は、無報酬なのか?
「島根いのちの電話」のホームページにある「なぜボランティアなのか」という項目によれば、専門家ではなく、似たような悩みや苦しみを味わったことのあるボランティアが、同じ目線に立って共に苦しむことに活動の意義があるのだという。
だが、これほど社会的に必要とされており、かつ専門性の高い仕事がボランティアであることが、果たして本当に正しいのかだろうか?
メールやLINE全盛の時代に、いまや電話は<前時代的な通信手段>となりつつある。「話し合うふたりが同じ時間を共有しなければならない」という電話の特性が、いま電話が敬遠される理由にもなっている。
しかし、この同時性から生じる「相手がいま話を聞いてくれている」ことこそが、「いのちの電話」が求められる理由でもある。
インターネットによる自殺予防の活動は、NPO法人「OVA」のものが知られており、以前に当サイトで報告した。
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また、「いのちの電話」も現在メールによるインターネット相談の事業を始めているが、電話というツールの必要性は、今後も失われることはないだろう。
一方で人員の不足から、「いのちの電話」にかけてもいつも話し中でつながりづらい――という現象は以前から頻繁に起きている。この活動を持続していくためには、労力に見合う最低限の補償を何らかの形で提供することを、検討する時期にきているのではないだろうか。
(文=編集部)