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【連載「“国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか」第32回】

ゲームで人は健康になるか!? 最新論文「ポケモンGOは健康増進につながらない」

任天堂の「Wii」には脳梗塞のリハビリ効果が

 では、実際に体を動かすゲームとしては一足先に行く、任天堂の「Wii」はどうだろう。「Wii」はリハビリ現場や運動に活用されており、こちらに関しても多くの研究が行われている。すでに発売から10年が経過して、一定の研究結果が出ている。

 たとえば、脳梗塞によって麻痺になった人に「Wii」を使用してリハビリテーションを行った結果、歩行能力とバランス能力が改善された、という報告がある。

 また、パーキンソン病の患者に対しても「Wii」用いてリハビリを行い、その効果を検証している研究(Nintendo Wii rehabilitation ("Wii-hab") provides benefits in Parkinson's disease)では、<日常生活動作の向上>が認められた。

 そのほか、「多発性硬化症」の患者に対する「Wii」の効果も発表されている。脳梗塞の後遺症や神経難病へのリハビリには効果を発揮しているようだ。

 エンターテイメント性の追求したゲームやデバイスで身体活動を増やすことは、今後もトレンドとして続くに違いない。「歩いてください」「運動してください」というだけでは継続は難しい。医療の分野でも、<楽しみながら健康になる>ことが理想だし、それが求められている。

 IoT(モノのインターネット)がさらに普及し、身体とインターネットがより密接になっていくだろう。近い将来、「体重を5kg落としたらレアアイテムゲット!」「体脂肪を減らして限定ノベルティをプレゼント」など、趣向を凝らしたゲームやお店が登場するかもしれない。
(文=三木貴弘)

三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

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