4週間の「ゆりかご歩き」で有効率は97%に
足の指を使う歩き方として古屋氏が指導しているのが「ゆりかご歩き」である。ゆりかご歩きとは、「かかと→足の裏→足指の裏」の順番に滑らかに着地させて、体重を移動させる歩き方だ。
かかとから足の指まで足全体を使って、ゆりかごが揺れるように体重を移動させるので、この名をつけたのだそうだ。
古屋氏は外反母趾で足の親指のつけ根に痛みを訴えていた117名を対象に、ゆりかご歩きの効果を調査した。4週間にわたってゆりかご歩きを行なってもらい、その前後で、ペインスケールを使って痛みの程度を数値化した。
調査の結果、ゆりかご歩きを行った後、約75%が「痛みが半分になった」と回答し、有効率については97%に達した。
外反母趾対策として、靴や中敷きにお金をかけるよりも、<自分の歩き方>を見直してほしいと古屋氏は強調する。
「サポーターやテーピングなどで治療しても足の痛みと変形が改善しないために、途方に暮れている人も少なくないでしょう。しかし、あきらめる必要はありません。今からゆりかご歩きを始めれば、外反母趾は自分で治せるのです」
「足の痛みが楽になれば歩行がスムーズになり、旅行も買い物もスポーツも楽しめるようになります。こうして積極的に体を動かすようになれば、全身の筋肉が強くなり、健康的に長生きすることにもつながるのです」
(取材・文=森真希)
森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。
古屋達司(ふるや・たつじ)
外反母趾研究所代表・柔道整復師。1963年、東京都生まれ。日本柔道整復専門学校卒業。92年、東京都板橋区にて三園接骨院(現みその接骨院)を開業し、外反母趾治療に取り組む。テーピングだけの治療法に限界を感じ、リハビリテーション医学の観点からアプローチを加え、「ゆりかご歩き」を考案。外反母趾の改善効果を飛躍的に向上させる。その成果を理論的に体系化し、99年に外反母趾研究所をみその接骨院に開設する。現在では、関東近県をはじめとする日本全国から数多くの患者が訪れ、アメリカ、イギリス、フランス、オーストリア、中国など海外在住の日本人からの歩行指導の依頼もあとを絶たない。また、その指導を受けた治療家とともに、日本全国に外反母趾研究所を広めている。