「大股歩き」や「その場ジャンプ」も効果的
小林氏は骨盤周囲のストレッチを、ねこ背の患者に指導している。
たとえば、お尻が平らになって「お尻がない」という印象を与えるのは、骨盤が後ろに倒れている人だ。こうした人には太ももの後ろ側を伸ばすストレッチを勧めている。
一方、腰が反っている人は骨盤が前に倒れている。こうした人は太ももの前側を伸ばすストレッチが有効だ
詳しいやり方は『ねこ背は10秒で治せる!』を参照してほしい。
そして日常生活では、「大股で大きく腕を振って歩く」ことを勧めている。大股で歩くことで股関節の柔軟性が保たれ、骨盤が正しい状態になるという。ハイヒールだと大股で歩きにくいうえ、骨盤が前に傾く。どうしてもハイヒールを履かなければならない場合以外は、運動靴をはいたほうがよさそうだ。
また、「その場でジャンプ」することも、ねこ背の改善に効果的なのだそうだ。「毎日ジャンプすることで、足裏が刺激されます。そして足腰の安定性が増してくるのです。それから、ジャンプは脊椎へのよい刺激にもなるので、脊椎を丈夫にする効果も期待できます。高齢者の場合は転倒を防ぐため、壁や机につかまってジャンプするといいでしょう」と小林氏。
ストレッチなどを行ってねこ背を治したら、身長が2センチ近くも伸びた32歳の女性もいるそうだ。また胃痛や鼻詰まりが治ったという報告も小林氏のもとには届いている。
「ねこ背が改善していくと、気分が明るくなり、前向きな考え方になる人もたくさんいます」
ねこ背治しには、体だけでなく心も健康になる効果がありそうだ。
(取材・文=森真希)
森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。
小林篤史(こばやし・あつし)
猫背矯正治療院V-Style院長。1975年、神奈川県横浜市出身。猫背矯正マイスター、柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師。高校時代にプロ野球選手を目指すも、腰痛など度重なるケガや体調不良により挫折。その悔しさから日本大学文理学部体育学科に入学し、トレーニング理論、機能解剖学などを研究。その後、治療家の門をたたき、2006年に宮前まちの整骨院を開院。13年、V-Styleを開院。独自に考案した施術が「持続する猫背矯正」として高い評価を得ている。現在、施術を行うかたわら、一般社団法人日本施術マイスター養成協会代表理事として、猫背矯正の普及に尽力している。