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【連載「死の真実が〈生〉を処方する」第41回】

自動車のエアバッグで子どもが死亡!? 身を守る「チャイルドシート」の正しい装着とは

自動車のエアバッグで子どもが死亡!? 身を守る「チャイルドシート」の正しい装着とはの画像1

自動車では子供は必ず「後部座席」に乗せる(depositphotos.com)

 子どもを自動車に乗せる時の安全性について、さまざまな誤解があるようです。子どもの場合は、後部座席でチャイルドシートなどを便用した上で、シートベルトをすることが、最も安全性の高い乗車方法です。

 先日、ある事故の報道がされました。「母親が運転する軽乗用車が電柱に衝突し、助手席にいた3歳児が死亡、エアバッグが展開した際に強い衝撃を受けた」というものです。

 その以前にも、助手席にいた6歳児が衝突事故に遭い、エアバッグの衝撃を受けて死亡――という報道がありました。

 このような報道を目にすると、あたかも「エアバッグは危険」なように印象づけられますが、果たしてどうなのでしょう。今回は、自動車に乗車する子どもの安全について考えます。

世界的なコンセンサスは?

 わが国の法律によると、6歳未満の子を乗せる時には、チャイルドシートを使用しなければならないことが規定されています。すなわち、子どもを<助手席に乗せてはいけない>とは記されていません。

 しかし、米国などでは、子どもは後部座席に乗せること、そしてチャイルドシートだけでなく、12歳頃まではブースターシートと言って座面を高くするシートを使用することなどが定められています。

 まず、子どもは後席に乗せること、チャイルドシートやブースターシートを適切に使用すること――これが安全に対するコンセンサス(合意)となっています。その理由について、エアバッグと身体の拘束という両面から説明します。

チャイルドシートが適切に装着されていたのは2~3割

 自動車に乗車する時には、シートベルトを適切に着用しなければならないと定められています。これは、きちんと体を拘束し、衝突時に身体が移動するのを防ぐためです。

 現在の「3点式」と呼ばれるシートベルトは、鎖骨、胸骨、肋骨、骨盤といった骨格を固定するものです。もし、体格の小さい子で腰のベルトが腹部にかかったら、衝突時に腹部を圧迫するので、内臓や腸管が損傷されます。

 この現象を「サブマリン」と呼びます。また、身長の低い子どもがシートベルトを着用すると、肩ベルトが首にかかるので、衝突時に首を圧迫されたら命取りになります。

 私たち大人が自動車の前席に乗車する際には、ベルトの引き出し囗にあるベルトアンカーが上下に移動して高さを調整できるため、適切な位置にベルトがフィットします。

 しかし、後席ではベルトアンカーが上下に調整できません。身長の低い子が後席でベルトをする際は、体の高さを上げる必要があり、そのために「ブースターシート」を使わなければなりません。

 なお、6歳以下の子は、シートベルトが使えるほど成長していないため、チャイルドシートが必要です。チャイルドシートは適切に取り付けられていないと、衝突時にシートごと移動することがあります。

 かつて私たちは、チャイルドシートが取り付けられている自動車を専門家とともに確認しました。すると、緩みなく適切に装着されていた自動車は2~3割にすぎませんでした。これでは安全な状態とは呼べません。

一杉正仁(ひとすぎ・まさひと)

滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授、京都府立医科大学客員教授、東京都市大学客員教授。社会医学系指導医・専門医、日本法医学会指導医・認定医、専門は外因死の予防医学、交通外傷分析、血栓症突然死の病態解析。東京慈恵会医科大学卒業後、内科医として研修。東京慈恵会医科大学大学院医学研究科博士課程(社会医学系法医学)を修了。獨協医科大学法医学講座准教授などを経て現職。1999~2014年、警視庁嘱託警察医、栃木県警察本部嘱託警察医として、数多くの司法解剖や死因究明に携わる。日本交通科学学会(副会長)、日本法医学会、日本犯罪学会(ともに評議員)、日本バイオレオロジー学会(理事)、日本医学英語教育学会(副理事長)など。

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