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【シリーズ「脊柱管狭窄症をもっとよく知る」第4回】

脊柱管狭窄症は鎮痛剤だけでは治らない!「血管拡張薬」で血流を促進すれば症状が緩和する

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脊柱管狭窄症の治療に有効な薬は?(depositphotos.com)

 先天的または後天的に神経が通る「脊柱管(せきちゅうかん)」が狭くなり、脊髄や神経が圧迫されるために、腰椎(ようつい=背骨の腰の部分)や頸椎(けいつい=背骨の首の部分) の脊柱管に病変が現れる難疾患、それが「脊柱管狭窄症」だ。

 日本赤十字社医療センター(整形外科センター長・医療技術部長)の久野木順一副院長に、脊柱管狭窄症の薬物治療について、で詳しく解説してもらった。

80%の症例に処方されている「血管拡張薬」のプロスタグランジンの有効性

 脊柱管狭窄症の治療は、患者の症状に応じて「薬物療法」「理学療法運動療法」「仙骨部硬膜外ブロック療法」「神経根ブロック療法」、生活指導などを組み合わせる「保存療法(手術以外の治療法)」が基本になる。

 腰痛を訴える患者に「消炎鎮痛薬」がよく用いられるように、脊柱管狭窄症でも消炎鎮痛薬がよく処方される。だが、消炎鎮痛薬だけでは痛みが解消しない場合が多いため、「血管拡張薬」の「プロスタグランジンE1製剤(オパルモン、プロレナールなど)」が服用されている。プロスタグランジンE1製剤は、脊柱管狭窄症の患者の約80%に処方され、一定の治療効果を上げている。

 ただ、専門外のかかりつけ医などは、消炎鎮痛薬だけを処方する場合が少なくないので、脊柱管狭窄症が疑われる人は整形外科の専門医を受診しよう。消炎鎮痛薬を1週間使っても症状が改善されないなら、プロスタグランジンE1製剤を服用するのがベターだ。

脊柱管狭窄症の治療の基本は虚血の解消

 脊柱管狭窄症は、神経が通る脊柱管が狭くなり、中を通る「馬尾神経(脊髄から続く馬の尾のような神経の束)」や「神経根(脊髄から左右に分岐する神経の根もと)」が強く圧迫されるために起きる。神経や神経根が強く圧迫されると、神経の周囲にある血管も同時に圧迫され、虚血(血液が足りなくなる状態)に陥るので、神経が過敏になり、足の痛み・痺れを伴う。

 脊柱管狭窄症の患者が「間欠性跛行」で歩けなくなっても、しゃがんで少し休めば、また歩けるようになるのは、腰を前に曲げる姿勢を取ると狭窄部が緩み広がるため、馬尾神経や神経根の圧迫が弱まり、血流が回復して痛み・痺れが和らぐからに他ならない。

 つまり、血管拡張薬を服用すると、同様の効果が期待できる。ホルモンと似た働きをする血管拡張薬のプロスタグランジンE1製剤の作用によって、血管壁にある平滑筋が緩み、血管が広がり、血流が促されるので、虚血が解消され、症状が緩和する。

 久野木副院長によれば、血管拡張薬を処方するだけで、足の痛み・痺れが軽減し、間欠性跛行も起こりにくくなり、約50%の患者に顕著な改善効果が現れている。

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