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【インタビュー「性差医療をめぐって」第2回 静風荘病院・天野恵子医師】

全国の「女性外来」の共通のモットーは「紹介状は不要」「症状は問わない」「初診に30分かける」

患者さんをトータルに診る

 女性外来の担当医の多くは内科医である。症状が多岐にわたるため、専門を活かしつつ患者をトータルに診ることのできる「総合内科医」の資質が求められるが、当然ながら一人の医師の守備範囲には限界があり、対応しきれない場合もある。

 「女性医療センター」として他分野にわたる医師を確保し、トータルに診ることができる体制ができれば理想的であるが、現状ではそのような施設は多くないため、医師らはネットワークを駆使して治療にあたっている。

 天野氏が2002年8月に立ち上げた「性差医療情報ネットワークNAHW(New Approach to Health and Welfare)」(http://www.nahw.or.jp/)は女性外来に携わる医師たちの貴重な情報交換の場となっているほか、全国の女性外来マップなど、一般向けの情報も掲載されているので、悩みがある人は一度アクセスしてみてほしい。

 診察は予約制。診察希望者が多く、数カ月先まで予約がとれない施設もある。まず予約センターに電話をして、自分の相談しようとする内容に適した医師がいるかどうかを問い合わせてみるといいだろう。

 治療法の中心は「Narrative based medicine(患者に語らせる医療)」で、西洋医学のほか、東洋医学の漢方も活用している。施設によっては、自費診療のばあいも、また、初診は自費診療で再診は保険適応のばあいなどがある。
(取材・文=梶浦真美)

「性差医療」のパイオニアである天野恵子医師(静風荘病院・埼玉県新座市)のインタビュー

天野恵子(あまの・けいこ)
1967年、東京大学医学部医学科卒。1988年、東京大学保健管理センター専任講師。1993年、東京水産大学(現:東京海洋大学)保健管理センター教授。2002年より千葉県立東金病院副院長および千葉県衛生研究所所長。2009年より埼玉県新座市の静風荘病院にて女性外来を開始している。日本における性差医療のスペシャリスト。循環器疾患、更年期における諸疾患、線維筋痛症、慢性疲労症候群などが専門。日本性差医学・医療学会(理事)、性差医療情報ネットワーク(代表世話人)。主な著書に『行き場に悩むあなたの女性外来―「部分」ではなく「全体」を治す』(2006年 亜紀書房)、『性差医療―性差研究が医療を変える』(2005年 真興交易(株)医書出版部)などがある。

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