がん治療に「温熱療法」が効く可能性は?
ちなみに、以前、筆者は、乳がんにおける「熱ショックタンパク(HSP)70」の発現を検討したことがある。その結果、悪性度の高い乳がんには、しばしば「HSP70」の発現がないことが判明した。
HSPは、熱に対する細胞の抵抗性の元となる。つまり「悪性度の高いがんは熱に弱い!」というわけだ。だから、「温熱療法」が有効である可能性が高い。
たとえ45℃以上の熱い温泉に入っても、体内の温度はそう簡単に37度を超えることはない。だとしても、少なくとも温泉は、「がん細胞が喜ぶ条件」でないことだけは確かだ。効くと信じて温泉に入る。そう前向きに捉えよう!
言うまでもなく、体表面の病気には温熱療法が有効だ。ハンセン病に対する治療効果は、古く江戸時代から群馬県、草津温泉のうたい文句だった。らい菌は熱に弱い! ミズムシなどの皮膚のカビ感染症にも温熱療法がよく効くことは間違いない。