切り干し大根の栄養価は、生の大根と比べて、鉄分約49倍、カルシウム約23倍!
さて、ここで大根のトリビアを。
大根の根は、水分が94.6%。胃酸過多、胃もたれ、胸やけに効果があるジアスターゼ(でんぷん分解酵素)が豊富な低カロリー(100g当たり18kcal)のヘルシーな淡色野菜だ。大根おろしは、まさに完全食!今回のグルコラファサチンのほかに、抗癌作用や抗菌作用がある辛味成分のアリルイソチオシアネート(芥子油)も含んでいる。
ただ、大根おろしは、ビタミンCが急速に減少するので、食べる直前におろすのがコツ。少し時間をおく時は、お酢を少々入れれば、ビタミンCが安定する。
大根の葉は、ビタミンC、ビタミンE、β-カロチン、カリウム、カルシウムを多く含む緑黄色野菜だ(五訂日本食品標準成分表より)。刻んで、味噌汁や納豆に入れると、シャキシャキした歯ごたえが美味しい。
案外、知られていないのが、切り干し大根の高い栄養価だ。大根は、太陽光を浴びると、水分が減り、紫外線や酵素による縮合反応(分子の結合)が起き、大根の旨味が糖化され、栄養素が凝縮されるため、栄養価がアップする。
切り干し大根の栄養価は、生の大根と比べて、鉄分約49倍(100g当たり9.7g)、カルシウム約23倍、カリウム約14倍、食物繊維約16倍、ビタミンB1・B2約10倍も高い。
生の大根は100g中に約3gの糖質を含み、切り干し大根にすると糖質が100g中に47gに増える。だが、1食10g程度なら糖質は4.7gなので気にならない。食べ過ぎだけに注意しよう。
また、水で戻す場合、カリウムや旨み成分が失われるので、戻し水は捨てずに調理に使おう。
水を使わないで戻す方法もある。ヨーグルトで戻せば、切り干しし大根のミネラル分を多く抽出でき、乳酸菌と食物繊維の相乗効果によって善玉菌が増え、腸内環境を改善できる。たとえば、切り干し大根のゴマ味噌和えなどはいかがだろう?
大根がとくに美味しい旬は7月〜8月頃と、11月〜3月頃。最後に健康な大根の選び方を。1本の場合は、葉がみずみずしく黄色くない、ひげ根が少なく、ハリとツヤがありずっしりと重い、この3点を見て選ぼう。
大根は上ほど甘く、下ほど辛い。大根おろしなら上、ブリ大根や煮物なら中央、薬味なら下という風に調理方法に合わせて選ぼう。
大根談義がすっかり長くなった。毎日食べよう、生の大根、切り干し大根!
(文=佐藤博)
佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。