「グルテンフリーダイエット」は穀類の消化に問題のない人には利点がない
そして、ここ数年健康食として大ブームの「ココナッツオイル」。これは実は、健康のためには摂りすぎを避けたい「飽和脂肪酸」を多量に含んでいる。そのため料理には、「不飽和脂肪酸」の含まれるオリーブ油やサラダ油を用いるほうがよい。
さらにいえば、「ダイエットに良い」「コレステロールを下げる」「生活習慣病の予防になる」といった、ココナッツオイルにいわれる効果効能を裏づけるデータは、現時点では存在しない。
もうひとつ、小麦や大麦などに含まれるタンパク質を除去する食事法「グルテンフリーダイエット」。これは、グルテンを摂取すると身体に問題が起こる「グルテン過敏症」や「セリアック病」の人には有益な方法だ。
しかし、穀類の消化に問題のない健康な人には、行っても利点がないと指摘している。さらに「グルテンフリー食品」として売られている商品は、精製された加工炭水化物の比率が高いため、健康体の人にとっては全粒穀類を摂るほうがずっと身体に良いという。
「なんとなく良さそう」で実行するのは危険
では、どんな食事が真の意味で健康的なのか?
一連のレビューの結論として、Freeman氏は「未加工の食品を中心とした、野菜や穀物などの植物性の食事を摂るのが望ましい」と述べ、さらに「色の鮮やかな野菜や果物は、抗酸化物質の豊富な栄養源である」と付け加えている。
結局のところ食ブームというのは、特定の体質の人にだけ有益なものや、特定の食材に対する過度な期待値を含んだ情報が、科学的根拠もなく流布されることが多いのだ。
情報を鵜呑みにして「何となく身体によさそうな気がする」というイメージだけで食事法を実践すると、思わぬリスクが潜んでいる。セレブのおしゃれを盗むのはいいとしても、「食のファッション化」はほどほどにした方がいい。
(文=編集部)