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【中村祐輔のシカゴ便り12】

2016年度に米FDAが新規薬剤22品目を承認、一方で如何ともしがたい日本の新薬開発

医薬品の輸入超過が2年連続2兆円超

 基本的には現状に対する危機意識がないのだと思う。「何が問題なのかわかっていない人には、問題を解決できるはずがない」のだが、最近話をしていて、こんな人によく出くわす。

 マークシート方式の試験の影響かもしれない。少しでも経験した問題には対応できるが、経験したことのない問題には、思考が働かないのだろう。

 日本は明治維新以後、欧米の医療を輸入する形で、医療を進歩させてきた。その環境では、輸入を真っ先にして、日本で一番であれば、お山の大将でいられたのだ。欧米の背中が見えるポジションで走り続けていれば満足していられたのだ。

 しかし、医薬品の輸入超過が2年連続2兆円超でも、現状の方策でいいと考えているのが不思議でならない。もし、危機意識はあるのだとしても、講じている対策は明らかに不十分だ。

※『中村祐輔のシカゴ便り』(http://yusukenakamura.hatenablog.com/)2017/0208より転載

中村祐輔(なかむら・ゆうすけ)

がん研究会がんプレシジョン医療研究センター所長。1977年、大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部付属病院外科ならびに関連施設での外科勤務を経て、84〜89年、ユタ大学ハワードヒューズ研究所研究員、医学部人類遺伝学教室助教授。89〜94年、(財)癌研究会癌研究所生化学部長。94年、東京大学医科学研究所分子病態研究施設教授。95〜2011年、同研究所ヒトゲノム解析センター長。2005〜2010年、理化学研究所ゲノム医科学研究センター長(併任)。2011年、内閣官房参与内閣官房医療イノベーション推進室長、2012年4月〜2018年6月、シカゴ大学医学部内科・外科教授兼個別化医療センター副センター長を経て、2016年10月20より現職。2018年4月 内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)プログラムディレクターも務める。

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