別人が一致する確率は4兆7000億人に1人という高精度!
このような凶悪事件が起きるたびに、真犯人の特定に活躍するのが「DNA型鑑定」だ。
細胞核の中にあるDNA(デオキシリボ核酸)は、4種類の塩基(アデニン、チミン、グアニン、シトシン)、糖、リン酸で構成されている。
DNAの中には、10塩基未満の短い塩基配列が繰り返し並んでいる特定領域(遺伝子座)がある。この繰り返す領域の反復数をショートタンデムリピート(STR:短鎖縦列反復配列)と呼ぶ。
ショートタンデムリピート(STR)をポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)によって10万~100万倍に増幅し、低コスト・スピーディ・正確に個人を特定する解析法、それがSTR法によるDNA型鑑定だ。
この鑑定法は、1989年に警察庁科学警察研究所が初採用。導入時のMCT1181型による鑑定では、別人が一致する確率は「1000人に1.2人」と正確性に大きな問題があった。
しかし、ショートタンデムリピート(STR)の違いを調べるSTR法は「4兆7000億人に1人」という高精度に達しているため、信頼性はきわめて高い。FBI(米連邦捜査局)も、犯罪捜査のためのDNAデータベースCODISシステムにSTR法を採用している。
(文=佐藤博)
佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。