健康管理に努めれば「ゴールド免許」
いったん話を整理してみよう。
健康管理に努めれば「ゴールド免許」という名の特典が得られ、どんな雇用形態の労働者でも全員が社会保障を受けられ、高齢者でも限度額を気にせず働き続けられる――。
医療・介護、雇用から年金問題までを見渡した真っ当なインセンティブ政策にも映るが、もちろん議論はこれからが本番。「健康管理に努めた人」の基準定義ひとつにしても難しそうだし、導入時の特典規定も難航必至だろう。
あくまでも自助努力を謳うこの医療・介護改革案は、他にも、年齢ではなく負担能力に応じた負担への切り替えを掲げている。「人生100年型年金」への改革案として、高所得高齢者の公的年金等控除の縮減も打ち出した。
小泉議員が「厚生年金の異次元の適用拡大である」と自賛する雇用面では、兼業・副業の推進を奨励し、定年制も廃止、企業側には「再就職支援の抜本的強化」も併せて説いている。
もちろん、ポスト安倍/ポスト2020年を見据えた、これらの提言が、いささかキレイごとの羅列にしか映らないという意見もある。
しかし、それが単なるキレイごとに終わるのか、思いのほか実現されてゆくのか、彼らのお手並みを拝見してみたい。
一方、日本健康会議(=昨年7月、全国知事会や全国市長会、日本経団連や日本商工会議所、健康保険組合連合会や日本医師会などが官民連携・協働で発足させた組織)の調査によれば、何らかの健康づくりのインセンティブを設けて推進事業を実施している市町村が394。「予定あり」と回答した市町村も158で全体の約3割を占めていた。
日本健康会議の掲げる2020年までの達成目標(=一般住民を対象とする予防・健康づくりのインセンティブを推進する自治体の数)は、800市町村以上にすることだという。
いよいよ、政府から各市町村に至るまで、「健康」へのインセンティブ旋風が吹き荒れそうである。
(文=編集部)