ファストフード店ではドリンクも注文しがちだが……(shutterstock.com)
酒や煙草は言うに及ばず、通称「ソーダ税」「ポテチ税」「脂肪税」など、健康リスクを伴なう特定の飲食物に対して「課税」をおこなう世界的趨勢がますます加速している。
今回はそんな傾向を象徴かつ後押しすべく、『American Journal of Public Health』(11月号)に掲載された「ドリンクセット」に対する警鐘論文の話題を紹介しよう。
ファストフードと一緒に「加糖飲料」を注文すると……
子どもや食べ盛りにある10代の若者たちがファストフード店に入った場合、「飲み物付きのセット」を選ぶと「加糖飲料」を頼む可能性が高くなる――。
米ニューヨーク大学ランゴン医療センターのBrian Elbel氏(公衆衛生・健康政策准教授)らの研究成果である。
Elbel氏らは、2都市(ニューヨーク市、ニュージャージ州)にある「マクドナルド」バーガーキング」「サブウェイ」「KFC(ケンタッキーフライドチキン)」「ウェンディーズ」の各店舗で、男児・女児(計483人)の選択メニューを内訳調査した。
その結果、ソーダ類や砂糖入りの紅茶、あるいはジュース類やフレーバーミルク付きのセットを注文した場合、全体平均で179kcalを多く摂取している実態が判明した。それは飲料を(セットではなく)個別に選んで購入した場合よりも80kcal多い計算に相当した。
「セット任せの親」と「飲料を選ぶ親」の違い
子どもの場合、オーダーの最終判断は親任せなのだろう……。躊躇なくセットを買い与える親は、個別注文の親に比べて、糖分ゼロやドリンクなしではなく加糖飲料を選ぶ確率が24%も高かった。
Elbel氏らはこの相違結果に基づき、もしセットメニューで加藤飲料を選ばなければ、子どもの「カロリー摂取低減」に役立つ可能性があることを示唆していると結論付けている。
「今回のわれわれの研究は、ドリンクセットに加糖飲料系を組み合わせなければ、高カロリーの飲料摂取が抑えられ、この種の飲料習慣がもたらす小児の肥満率を軽減する結果につながる可能性の強さを示唆している」
そう話すElbel氏は、「この研究が、直接、セット販売のファストフードと肥満の因果関係を証明しているわけではないものの、政策立案陣にとっては公衆衛生政策の策定に大いに利用できる成果だと確信している」と指摘する。