尿が出にくい、時間がかかる、尿の間隔が近くなるのはなぜ?
尿が出にくい、時間がかかる、尿の間隔が近い(頻尿)になるのも、交感神経が尿の出口を締めているからだ。前立腺が肥大化したり、血圧が上昇すると、さらに交感神経の働きが強まるので、尿がますます出にくくなる。このような排尿障害を和らげる方法はないだろうか?
最近の生活習慣病の疫学研究によれば、一酸化窒素(NO)の激減が排尿障害をはじめ、高血圧、糖尿病、動脈硬化症、うつ病の発症に関わっていることが分かっている。一酸化窒素(NO)が激減するのは、活性酸素による酸化と糖化が原因だ。活性酸素は、カロリー過多の食事、喫煙、紫外線、放射線によって増え、糖化は、高血糖、高果糖のほか、揚げ物などの過食によって起きる。
血管や神経組織でアルギニンというアミノ酸から作られる一酸化窒素(NO)は、全身の平滑筋を緩めることから、尿の出口も緩めるため、尿が出にくい、時間がかかる、尿の間隔が近くなるなどの排尿障害が緩和されるのだ。
さらに、交感神経を抑えながら、一酸化窒素(NO)を増やす方法がある。適度な運動だ。少し汗ばんだり、心拍数が上がる程度の軽い有酸素運動、たとえば、毎日15分の早歩きする、ストレッチする、ゆっくり入浴するなどを習慣化すれば、交感神経の過活動が抑えられるので、排尿障害はかなり和らげられるだろう。
トイレが近くなった人におススメのアンチエイジング3カ条
順天堂大学医学部泌尿器科の堀江重郎教授は、最近トイレが近くなって悩んでいる人に「アンチエイジング3カ条」を奨めている。
第1に、食欲の秋こそ、腹7分目が大切。揚げ物、パンやごはんなどの炭水化物は少し控えめに、野菜と果物をたくさん食べよう。
第2に、運動の秋こそ、先述した毎日15分の早歩き、ストレッチなどの有酸素運動を心がけよう。
第3に、芸術の秋こそ、趣味を深めたり、旅行したりしてストレスレスに過ごそう。スマホ、パソコンは就寝前には見ない。温めのお湯につかりながら、バスタイムをゆっくり愉しもう。
夜中に3回以上トイレに起きる夜間頻尿は、睡眠障害の元凶だ。心配な人は、泌尿器科の診断・治療を必ず受けよう。
(文=編集部)