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【インタビュー「職場でのうつ病の再発を防ぐ」秋山剛医師(NTT東日本関東病院精神神経科部長)】

部下や同僚が「うつ病」になったら? リワークのプログラムで再発を防げ

うつ病とどう向き合っていけばいいのか?

──リワークによる効果は、どのくらい実証されているのでしょうか?

 これは評価するためのデータの取り方は、非常に難しいのです。というのも、リワークのプログラムを受けた人が、どのくらい仕事を続けているかというデータは取れますが、リワークプログラムを受けずに普通に復職した人が、どれくらいで再発、再休職しているかというデータが、公表されないのです。

 ただし、リワークのプログラムを提供している医療機関や医療施設が国内に200余りに増えて、広がりを見せています。復職する人の実感、迎える企業側の実感として、リワークによって、以前より再発を繰り返さなくなったと考えられていると思います。

──うつ病には、これからどう向き合っていくべきでしょうか?

 「認知行動療法」という、物事の受け止め方や困りごとの解決方法を学ぶカウンセリングは、軽いうつには治療効果があります。これは病気になる前の予防の段階でも効果がありします。うつ病になる前に、「よりよく柔軟にものごとを受け止め、効果的な問題解決をする」ことを、国民全体で学ぶという働きかけもこれから必要でしょう。いじめの防止にも役立つと思います。

 それから、うつ病になったときに元の会社に戻るかどうか、悩む人がいます。私は、こういう場合、「これを契機に、<自分にはどんな可能性があるか>ということを徹底的に考えてみたほうがいいですよ」と勧めています。

 会社にはよいことも嫌なこともあります。復職するのであれば、気持ちの整理をつけて、より前向きな気持ちで復職することが大切ですから。「自分が人生の主人公であり、筋書きを書いているんだ」という主体的な気持ちが大切ですね。
(取材・文=里中高志)

秋山剛(あきやま・つよし)
NTT東日本関東病院精神神経科部長。うつ病リワーク研究会世話人。東京大学医学部卒業。同大学医学部附属病院分院神経科を経て現職。東京大学精神科非常勤講師などを兼任。専門はうつ病の人の復職支援など。監修書に『うつ病リワークプログラムのはじめかた』(弘文堂)、『うつ病の人の職場復帰を成功させる本』(講談社)などがある。

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