部下や同僚が「うつ病」になったら?(shutterstock.com)
うつ病で休職中の人が、毎日決まった時間に病院に通い、同じような仲間とともに再発を防ぐためのプログラムを受ける「うつ病のリワーク」。
そのリワークが受けられる医療施設は、全国で180以上とその数は増えている。自分が、部下が、そして同僚がうつ病になったとき、うつ病やうつ病休職にどう対処すればいいのか?
最新の知見を交えながら、うつ病のリワークを進めるプログラムの普及を目指す、NTT東日本関東病院精神神経科部長・秋山剛医師に話を聞いた。
うつ病のリワークとは?
──自分が、部下が、そして同僚がうつ病になったとき、我々はどのように向き合えばいいでしょうか?
上司の立場なら、うつ病となった部下に対して、どんな風に仕事を与えるかは自分だけでは決めずに、産業医や主治医からの情報も加味して、妥当と思われる、<少し控えめ>な仕事量を与えることです。
通常なら、仕事以外の話題で良好な人間関係をつくることはプラスに働きますが、うつ病になった場合、部下がそれを負担に感じることがあります。突っ込んだコミュ二ケーションは、相手が話にノッてきてからにした方がよいでしょう。
同僚がうつ病になった場合、相手が自分で話さない限り、病気について詮索する立場にはありません。あれこれ聞かずに<見守る>姿勢が適切だと思います。
また、自分がうつになったときは症状のモニターをするとともに、考え方の転換が必要になります。
──うつ休職中のリワークには、どのような意義があるでしょうか?
うつ病で会社を休んだら、まずは静養期があって、そこから散歩をしたり、生活のリズムを整えていくという、回復に向けての段階があります。生活のリズムが整ったら、リワークプログラムに通うといいでしょう。
リワークプログラムに通えば、自分と同じように復職を目指す仲間と、グチを言い合ったり、昼食を一緒に食べたり、励まし合ったりできます。自分ひとりだと、復職のための十分な準備はなかなか難しいかもしれません。
──リワークのプログラムの内容を教えてください。
作業能力を回復するための個人作業やグループ作業のほかに、病気への理解を深めたり、心理教育を受けるなどのプログラムがあります。
大切なことは、<対人スキル>の向上です。職場でのストレスは、対人スキルの不足によって生じます。たとえば、うつ病を引き起こすほどの長時間の労働をしてしまうのは、「断れない」「代わりにお願いできない」「教えてくれる人を探せない」などによります。
もし、ほかの人に助けを求めることができたら、うつ病の発症を回避できるでしょう。うまく対人関係をつくることができるスキルを高めることは、とても重要です。
そもそも復職というのは、病気になって脆弱になった人が、元と同じストレスがある職場に戻るわけで、ストレスに対処できる能力を改善していなければ、再発しても不思議ではないのです。ストレスをコントロールするコツを習得しなければ、再発は防げません。
リワークというのは、そのためのスキルを取得する場所でもあります。