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「はしか(麻疹)」が大流行! 最も感染の危険が高いのは20~30代!?

<排除状態>の日本で、なぜ流行したのか?

 国内では2008年に1万人を超える大規模なはしかの流行が起きたが、世界保健機関(WHO)は昨年3月、「日本は麻疹の排除状態にある」と認定した。

 日本に存在する「土着」のウイルスによる感染が3年以上押さえ込まれてきたからだ。

 ではなぜ、再び患者が急増しているのか。厚生労働省によれば、関西空港の従業員や利用者から検出されたウイルスは「H1」という中国やモンゴルで流行している型だという。

 今年7~8月、千葉県松戸市を中心に報告されたのは、東南アジアや南アジアなどで流行している「D8」ウイルスだ。

 海外には、いまだにはしかが流行している国は多い。海外で感染して日本に持ち込む危険性は、常にある。

感染リスクが高いのは今の20〜30代

 特効薬がないはしかの最も有効な予防策は、ワクチンの接種だ。はしかワクチンは昭和53年から定期接種となり、すべての子ども(1~6歳)に接種が行われている。この定期接種の導入で、国内の感染者は大幅に減少した。

 だが、その後、1回の接種では十分な免疫力がつかないケースが判明した。そこで確実にするため、平成18年から1歳と小学校入学前の2回接種となった。

 一方、40歳以上は、はしかに自然感染して免疫を獲得している人が多い。ちなみに、自然感染による免疫は、通常であれば生涯続く。

 そのため、日本でいちばん感染のリスクが高いのは、子どものときに1回接種しただけの20~30代である。今回の関空を舞台とした集団感染の多くが、この世代に集中している。

 大阪府は8日、さらなる感染拡大を防ぐため、関空従業員約900人に任意のワクチン接種を始めた。対象者はワクチン未接種者や、はしかの既往歴がない30代以下の従業員だ。

ワクチン接種が感染拡大を防ぐカギ

 はしかの既往歴が不明で、予防接種を1回しか受けていない人も、ワクチンの在庫があれば近くの医療機関で接種できる。

 保険はきかず、費用は8000円から1万円だ。自治体によっては、妊娠を希望する女性に対して、MR(風疹・麻疹混合)ワクチンを助成するところもある。

 ワクチンには拒否反応を示す人もいるが、日本が「麻疹排除国」となりえたのも、ワクチン接種率がアップした賜物だ。

 1990年代、「MMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹)ワクチンが自閉症を引き起こす」という論文が発表され、ヨーロッパでワクチン接種率が激減して、はしかが流行した。

 2010年、「論文は捏造だった」として取り下げられたが、いまだにワクチンに関するデマと不信感は一人歩きをしている。その轍を踏むべきではない。

 はしかの特徴は、成人してから発症すると重症化しやすいことだ。感染リスクの高い人は、今回の流行を機にワクチン接種しておくのもいいだろう。ひとりでも多くの人が免疫を獲得すれば、社会全体で感染拡大を防ぐことにつながる。
(文=編集部)

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