夏場の「水シャン」で熱中症を防げ(shutterstock.com)
厚生労働省の発表によると、熱中症による業種別死傷数が過去5年間で最も多いのが建設業――。
同省の通達「職場における熱中症の予防について」では、WBGT値(暑さ指数)を活用して熱中症のリスク評価を行ない、その上で作業環境管理・作業管理・健康管理などを行なうことを指導している。
その基本となるのはWBGT値の低域化に向けた企業努力だが、昨今の大手ゼネコンの熱中症対策はかなり徹したもので、作業前の「強制飲水」はもはや当たり前。ドライバー職の呼気検査よろしく、作業員は設置されたウォータークーラーで水分を摂り、それが確認されないと現場作業に入れないのが趨勢だ。
生産性の向上は「休憩」から
最近は朝礼時の「フェイスチェック」を導入する現場も増えており、作業員らの回答シートを毎日回収している大手ゼネコンもある。
訊かれるのは「朝食は食べたか?」「昨夜は飲酒したか?」「睡眠時間は充分か?」「現在の体調は?」など、日頃の健康管理や作業当日の適性を問うような内容だ。
「技術者たるもの、自然相手に上手く折り合いをつけるのも仕事のうち」とは、土木技術者の間で古くから言い伝えられてきたコトバだという。しかし、反面、人一倍我慢強くて、よほどツラい状態に陥らないと休もうとしない職人気質(=矜持)が、管理する側の現場監督陣には大きな壁だというのもわかる。
つまり今日の管理陣には、休憩を遠慮するのではなく、むしろ作業員同士が自らの体調を積極的に言い合えるような環境づくりが問われている。現場の各フロアには休憩所が設けられ、体調不良時の仮眠室を常設しているゼネコンもある。