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日本は大麻に対する理解が遅れている! 「大麻=薬物乱用=悪」という思考停止の呪縛からの解放を

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日本は大麻に対する理解か遅れている(shutterstock.com)

 大麻は、公衆衛生上の害が心配される植物です。そのせいで、大麻と聞いただけで、大麻=薬物乱用=悪と思考を停止してしまうのが現在の多くの日本人の現実かもしれません。

 しかし、以前、MRICで大麻の医療利用の不合理を指摘したところ、たくさんの反響をいただくことができました。その中で、わが国の伝統的な麻文化や産業が存続の危機に陥っており、筆者はそちらの方面でも当事者であると述べました(参考:http://medg.jp/mt/?p=2081)。

 わが国は、大麻に関して医療面だけでなく他の分野でも不合理な扱いをしており、それは国益を著しく損ねています。そこで、今回は伝統的な大麻栽培に関わる当事者としての立場から、伝統継承や一般産業における大麻問題をできるだけ簡潔に述べ、その解決の方向性について示し、ご諸兄のご批判ご批評を仰ぎたいと思います。

●はじめに

 今の日本で大麻(アサ:麻:Cannabis)といえば乱用薬物のイメージが強いですが、戦前までは乱用されることなく普通の作物として盛んに栽培し活用されていました。それもそのはず、日本在来のアサは、その成分上、乱用とは無縁な品種だからです(参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B5)。

●イメージが悪いアサ

 アサ(大麻)のイメージが悪くなる最初のきっかけは、戦後間もなく占領軍の指示で行われた大麻栽培全面禁止の施策(1945年)に遡ります。その後、麻栽培農家を保護するなどの目的で「大麻取締法」(1948年)を定め、免許を取得すれば栽培が継続できる形となりました。この法の制定当時は、農林省と厚生省の共同管轄であったようですが、次第に厚生省の力が強まり、農家保護の視点は忘れられ、薬物乱用防止の意味合いのみが独り歩きするようになりました。1970年代頃には、ヒッピームーブメントなどの影響で大麻の吸引を良いことと考える人々が出現。有害大麻も海外から持ち込まれ、その乱用が社会問題となり、覚せい剤やその他の痲薬とごっちゃになって「悪いイメージ」が国民の間に定着。アサについて語ることさえ、はばかられる社会になりました。

 そうしたことの影響もあり、アサ栽培農家は減少の一途。遺伝資源の保存や品種改良・栽培・活用のための技術開発も滞り、日本のアサは、絶滅の危機を迎えていると言っても過言ではありません。

 しかし、世界に目を向ければ1964年に乱用の原因となるのはTHC(テトラヒドロカンナビノール:Tetrahydrocannabinol:Δ9-THC)という物質であることが発見され、以来THCの含有率が低いアサは無害であることが理解できるようになりました。そのため、日本を除く多くの国では、環境に優しい循環型の資源としてアサの見直しをはじめ、THCの含有率の高いアサを有害な薬理型(カナビス)、THCの少ないアサを無害な繊維型(ヘンプ)と区別して扱うように制度を整えてきました。

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