牛豚の半分以上は病気に!?(shutterstock.com)
『行ってはいけない外食』(三笠書房/知的生きかた文庫)を上梓されたフードプロデューサーの南清貴さんは、「外食産業で提供される『食』は、身体に悪いもので満ち溢れている」と警鐘を鳴らす。
その一方で、「特別にお金をかけなくても、正しい知識と意識をもてば、本物の食事はできる」とも話す。では、具体的にどのような食事を選んでいったらよいのか、「外食」という枠を超えてお話を伺った。
和食は日本人の叡智の結晶。原点に帰ろう
「オーガニックや無農薬というと、何か特別なもののように思われていますが、100年前は、それが当たり前だったんですよ」と南さん。日本は高度成長と欧米化に伴い、多くの物を得てきたが、一方で失ったものも多いのではないかと南さんは問いかける。
その代表が米食文化だ。米は、体の中でエネルギーに変換される炭水化物と、タンパク質を合成するために必要な必須アミノ酸を、バランスよく含んだ優れた食品である。
しかし、食の欧米化に伴い、米を食べる人が減ってきた。さらには、政府の減反政策である。水田は米を作る場所であると同時に、灌漑治水装置としての役割も果たしてきた。私たちの健康を守るためだけでなく、国土を守るためにも、米食文化の素晴らしさをもう一度見直すべきではないかと南さんは考えている。ただし、重要なのはその米と豆を食べ合わせることである。
野菜についても、数十年前とは全く様相が異なってきている。現在の外食で提供されている野菜の大半は、促成栽培で育てられたもの。大きさが同じで、輸送に耐えられるように皮が厚い。
これらは、昔ながらの「固定種」と違って、ほぼ種をつけない「F1種」と呼ばれる野菜である。見かけ重視、効率重視で作られたこうした野菜は、栄養価も低く、味も香りも本来のものを失っている。それどころか、過剰な化学肥料が使われ、安全性に問題があるものも少なくないという。
今でも昔ながらの、栄養素が豊富でおいしい在来種のオーガニック野菜を作っている農家は存在する。消費者が本物の野菜を食べたいと声を挙げれば、それを提供してくれる人たちはいるのだ。
「無農薬・無化学肥料で育てられた野菜を、多少高価であっても選んで買おうという消費者が増えれば、オーガニック農法はどんどん広がっていくのではないでしょうか」と南さんは期待を込める。