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ニートの「おそ松さん」を笑えない「8050問題」〜年収200万円&未婚者の約8割が「親と同居」

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大人になっても親の年金頼りの現実(shutterstock.com)

 そもそもは赤塚不二夫生誕80周年企画のひとつとして制作されたアニメ『おそ松さん』(テレビ東京系)。

 深夜1時35分開始という微妙な時間帯で昨秋から半年間放送されたが、“クズ萌え”の女性層の琴線に響き、今や経済効果70億円ともいわれる大化け作品となった。

 伝説のギャグ漫画の28年ぶりのリメイクに際し、藤田陽一監督の挑んだ奇策が「(6つ子のおそ松兄弟が)全員ニート/全員童貞で大人になっている」という破天荒な設定だ。

 そして2話目では、6つ子がハローワークを訪れて「就活」を試みるも、担当職員らからサジを投げられるという深夜枠ならではのブラック話が炸裂した。

 付和雷同で同行しただけの一松などは「自分はクズでゴミ、生きる気力のないゴミ」と開き直るわ、ハローワーク訪問後は全員で昼間から飲んでパチンコへ出撃するわの体たらくぶり。これには自称・おフランス帰りでおなじみの登場キャラ、イヤミも思わずこう叫ぶのだった。

 「まったく、子どもの頃チヤホヤされたせいで、トンデモないモンスターに育ってしまったザンス!!」

成長しても親の年金頼り

 DVD化の第1作目『おそ松さん 第一松』の宣伝文句も「成長しても、やっぱりバカ。」と煽る自虐ぶり。

 ギャグ漫画を原作とするアニメがブレイクすること自体が稀と斯界ではいわれるが、アベノミクス下で深刻化を増す一方の笑うに笑えないリアルな〝おそ松さん現象〟が大受けの背景にあるのも事実だろう。

 福祉関係者のあいだで今、「8050問題」と呼ばれている現象をご存じだろうか。80歳/50歳の同居世帯をめぐる問題、前者が親の/後者がその子どもの該当年齢を意味している。そんな困窮親子が世帯ごと社会から孤立している(いく)現状をさして、そう呼ばれているのだ。

 この8050問題の深刻さを裏づける統計がある。高齢化する親と未婚の中年子女の同居世帯がいかに増えているかを明かした、厚生労働省『国民生活基礎調査』(平成25年)の驚くべき結果だ。

 「65歳以上の高齢者がいる世帯」の構成割合を経年比較してみると、1975年から2013年までの歳月の流れで国内事情は次のように変化している。

▶︎「3世代同居」が54.4%から13.2%に減少している
▶︎「親夫婦と未婚の子」の同居は6.7%から12.2%に増えている
▶︎「親一人と未婚の子」という世帯も2.9%から7.6%に増加している

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