タバコより有害なファストフード!! (shutterstock.com)
ファストフードを週に2回以上食べると、糖尿病や心臓病のリスクが強まる。週に4回以上食べたら、がんや心筋梗塞で死ぬリスクが80%も高まる。妊娠中に食べると、胎児の脳に変化が生じ、赤ちゃんは過食症になる。ファストフードはうつ病も発症させる……。
糖尿病、がん、心筋梗塞、うつ病になるぞ!体に毒だぞ!星の数ほどの「ファストフード悪玉論」が巷にあふれ返っている。
2003年、世界保健機関(WHO)は、ファストフードは肥満につながる! タバコよりも有害! と警告。2007年、世界がん研究基金は、がん予防のためにファストフードの摂取を控えるよう勧告した。
2007年7月18日付けNew York Timesによれば、米国のマクドナルドやペプシコなどの11の主要メーカーが12歳以下の子どもへのファストフードの広告中止を合意。米疾病対策センター(CDC)は、米国人の3分の2が肥満で悩み、医療費は900億ドル(9兆7200億円)以上と推計した。
2009年、台湾政府は、食生活の改善と肥満低下を図るため、ファストフードのメーカー各社に特別税を課税すると発表。2013年6月25日付けの日経メディカルオンラインによれば、妊娠前にファストフードを頻繁に食べた妊婦は、糖尿病の罹患リスクがおよそ2倍に膨らむと警鐘を鳴らした。
米国マクドナルドの従業員専用ウェブサイト『マックリソース・ライン』を見ると、何と従業員に対して「健康のためファストフードは食べないように!」とアドバイスしているほどだ。
ピザにハンバーガーにフライドチキン。早い・安い・美味い・手軽が謳い文句のファストフード。だが、健康志向の高まり、飽食や肉食への反省、生活習慣病への懸念、深刻な健康リスクが逆風になり、世界的にファストフードの失速が目立つ。
ファストフードがもたらすハイ・リスクは、今や世界公認のように見える。
ファストフードが大好きな人は、有害化学物質のフタル酸の悪影響を受けやすい!
4月13日の「Environmental Health Perspectives」オンライン版によれば、米国のジョージ・ワシントン大学ミルケン公衆衛生大学院(ワシントンD.C.)のAmi Zota助教授らは、ファストフードを食べると、有害化学物質とされるフタル酸にさらされるリスクが高まると発表した。
この研究によると、ファストフードを多く食べる人の尿中のフタル酸濃度は、ほとんど食べない人よりも24~40%も高かった。
さまざまな食品の包装や食品加工機械に使われるフタル酸は、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)とフタル酸ジイソノニル(DiNP)の2種類がある。
フタル酸は、男性の生殖系の発達に悪影響を及ぼし、先天性異常、行動障害、喘息などの小児慢性疾患も引き起こすため、米国では小児の玩具への使用が全面禁止されている。
Zota助教授らは、米国疾病管理予防センター(CDC)が実施した全国健康栄養調査(NHANES)に参加した約8,900人のデータを精査。参加者の24時間の食事に関する回答と、DEHPとDiNPの尿検査値を詳細に分析した。
その結果、穀物類や肉類が多いファストフードを頻繁に食べる人ほど、フタル酸から受ける悪影響が大きかった。つまり、摂取量が多い人は、摂取しない人よりも、尿中のDEHP分解産物の濃度が24%高く、DiNP副生成物質の濃度も40%高かった。
Zota助教授は「24時間以内のファストフード摂取量と体内のフタル酸の濃度は統計的に見ると、関連性が強い」と述べている。