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【連載「国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか?」第14回】

ロキソニンテープにも新たな副作用?〜気をつけたい“痛みを押さえ込む”ことの功罪

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ぎっくり腰や捻挫の際に使われる「ロキソニンテープ」(写真は第一三共株式会社のHPより)

 ロキソニンの新しい副作用が話題になっている。その内容は「重大な副作用の項に、小腸・大腸の狭窄・閉塞を追記する」というものだ。

 だがこれは、ロキソプロフェンナトリウ ム水和物(経口剤)に対して。つまり、口から摂取する経口剤に限った話である。

 ロキソニンを含む薬には、経口剤のほかに貼付薬(いわゆる貼り薬)があり、主な効果はどちらも同じだ。しかし、貼付薬に関しては、今回の重大な副作用が追加されることはなかった。同じ効果があっても、飲み薬と貼り薬では副作用が異なるということである。

 急性腰痛(いわゆるぎっくり腰)や捻挫などの炎症が起こっている時には、ロキソニンなどの抗炎症作用や鎮痛作用がある薬を用いることは有効だとされている(連載・第13回を参照:http://healthpress.jp/2016/03/post-2319.html)

 人気薬のロキソニンだが、飲み薬と貼り薬におけるメリット、デメリット、使用に際しての注意点など、その違いは意外と知られていない。そこで今回は、ロキソニンテープを軸に解説したい。

薬の違いを知ること

 まず、服薬と貼付の大きな違いは、全身に作用するか、限定的に作用するという点だ。当然ながら、飲み薬は全身に、貼り薬は使用部分に作用する。

 ぎっくり腰や捻挫は、基本的に体の一部分だけに生じることが多い(交通事故などで全身打撲などの特殊な場合はまれにあるが)。その場合、痛めた箇所だけに効く貼り薬のほうが使い勝手がいい。

 全身に作用しないので、最初に述べたような重大な副作用が起こる可能性は、飲み薬と比べると極めて低いことも理解できよう。また万が一、副作用が起こった場合でも、剥がせばすぐに中止できる。消化器を介さないので、それらの内臓への負担が少ないという利点もある。

 ところが、肌に直接貼るので、皮膚が赤くなったりかゆくなったりという欠点がある。皮膚が敏感な人は煩わしく感じてしまうかもしれない。

三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

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