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旧優生保護法で強制不妊手術が1996年まで合法だった日本 強制された障害者に救済を

1948年から1996年までに1万6500件の強制不妊手術

 戦後の1948(昭和23)年から施行された「優生保護法」は、優生学上の見地から不良な子孫の出生を防止し、母体の健康を保護するために、本人の同意がなくても優生手術を実施できるように定めた法律だ。

 優生保護法は、遺伝性疾患だけでなく、ハンセン病や遺伝性以外の精神病・精神薄弱を持つ患者に対する優生手術・人工妊娠中絶・受胎調節の実地指導などを定めた。

 優生保護法の成立後の1949年から1994年の46年間に、障害者の同意なしに強制的に行なわれた優生手術は1万6500件に上る。その68%(1万1220件)は女性だ。一方、同意に基づく優生手術は80万件以上あった。

 だが、人権意識の高まりや過剰な優生思想の反省から、1996(平成8)年に、優生保護法は母体保護法に改正された。優生思想に基づいた障害者とハンセン病患者への強制的な優生手術に関する条文が削除されたため、本人および配偶者の同意のない優生手術は禁止された。

 ちなみに、本人の意思を伴わない強制的な不妊手術は、国際刑事裁判所ローマ規程第7条で「人道に対する罪」に認定されている。

 今回、行なわれた女性差別撤廃委員会の勧告の主眼は、子どもを産んでよい人と子どもを産んではいけない人を国は選別できない、不良な子孫の出生防止は、障害者の差別につながるという点に尽きる。 

 子どもを産む、産まない能力や事情によって、女性は差別を受けてはならない。女性だけに過重な出産・育児の責任や負担をかけてはならない。男性も分かち合わなければならない。

 自由な意思による妊娠・出産は、障害の有無に関わらず、万人に保障された基本的人権だからだ。
(文=編集部)

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