モバイルヘルス・アプリ規制の空白を問題視する声
このような問題が生ずるのは、モバイルヘルスに用いられるアプリが「医療機器」として扱われていないためだ。すなわち、医療機器であれば当然に求められる「正確性の確認(バリデーション)」がないまま、あたかも医療機器のように汎用されている。
この点については既に2014年7月の時点で、南メソジスト大学デドマン法科大学院のNathan G. Cortez氏らが、「New England Journal of Medicine」誌で懸念を表明していた。
同氏らによると、産業界や議会には、米国食品医薬品局(FDA)によるモバイルヘスル・アプリへの規制は、技術革新を停滞させるとの懸念があり、積極的規制に至っていないという。 しかしFDAが監督すればこそ、モバイルヘルス・アプリに対するユーザーの信頼は高まり、より付加価値の高い技術革新につながるとCortez氏らは主張する。
そもそもモバイルヘルス・アプリ全般への信頼性が地に落ちてしまっては、ビジネスとして成立しない。モバイルヘルスの波が押し寄せた時、わが国にはどのような枠組みが用意されているのだろうか——。
(文=宇津貴史:医学リポーター)