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犬や家畜と暮らすと小児喘息が減る!? アニマルセラピーの効果は「心のケア」だけではない!  

アニマルセラピーによる「心のケア」は古代ギリシア時代から行われていた

 アニマルセラピーが有効なのは、小児喘息だけではない。

 アニマルセラピーは、国際的には動物介在療法(AAT /Animal Assisted Therapy)と呼ばれる。古代ギリシア時代には、負傷した戦士のリハビリテーションに乗馬療法が取り入れられた。18世紀のイギリスのヨーク収容所では、ウサギやニワトリを飼育して精神障害者を治療した。19世紀のドイツのてんかん治療施設では、ペットがてんかんの症状を軽減させた。精神分析学の創始者ジークムント・フロイトは、患者の傍にチャウチャウを座らせて診察し患者をリラックスさせた。20世紀に入ると、アニマルセラピーは、世界中で長足の普及を遂げる。臨床心理学者ボリス・レビンソンは、人とコミュニケーションできない場面緘黙(ばめんかんもく)の子どもを犬と遊ばせて症状を改善させた。

 1980年代のジュリア・ヴォルムブロックとジョン・グロスバーグの共同研究では、犬を撫でると被験者の血圧が低下することが確認された。ペンシルバニア大学のエリカ・フリードマンやアーロン・H・カッチャーの研究では、犬や水槽の魚の飼育は、心筋梗塞の患者の血圧や脈拍数を安定させ、動物を飼う患者の延命率は、飼わない患者の3倍も高かったと公表された。

 現在、アニマルセラピーは、米国のデルタ協会、National Capital Therapy Dogs,Incをはじめ、イギリスのスキャス(SCAS/コンパニオン・アニマル研究協会) 、フランスのアフィラック(AFIRAC) 、アイアハイオ (IAHAIO)などがグローバルな協力体制を築きつつ、最新の研究・教育の成果を世界に広めている。

アニマルセラピーは、なぜ効果があるのか?

 アニマルセラピーは、なぜ効果があるのか?

 第1は、生理的効果――。動物に触れると、幸せホルモンと呼ぶ脳内伝達物質のドーパミンが一気に分泌されるので、「動物と接していると楽しい!」という生理学的な変化が生まれる。同時に、末梢神経の拡張、血圧の低下、心拍数が優位になるため、落ち着く、癒される感覚を体感できることから、ストレスの軽減につながる。

 第2は、心理的効果――。たとえば、動物と接して楽しい経験をすると、「あの犬にまた会いたい!」という楽しい感情が再現されるので、抑うつ症状が改善されたり、免疫力が強化されることに役立つ。同時に「犬と散歩したいからリハビリを続けよう!」などと患者の回復へのモチベーションを高めやすい。

 第3は、社会的効果――。動物と接すれば、人と人との交流が円滑になる。たとえば、老人ホームで口を利かなかった高齢者が、アニマルセラピーがきっかけで他の入所者と話すようになって孤独感を和らげたり、震災後の仮設住宅なら、犬や猫が住民たちの会話の潤滑剤になったりする。犬を連れている人は、人から話しかけられやすい。赤ちゃんを連れている人よりもペットを連れている人の方が近づきやすい。障害を持つ子どもは、サービスドッグが付き添っているだけで、話しかけられる機会が多い。

 このように、アニマルセラピーは、生理的、身体的、心理的、社会的に絶大な効果が期待できる。特に誰もが実感しているように、犬に生来から備わった社交性、素直さ、親密さ、情緒の豊かさは、ヒューマン・ケナイン・ボンド(Human Canine Bond,/人と犬の絆)と呼ばれる。良質のセラピー効果を生むので、セラピードッグとしての存在感が大きい。

 2015年4月17日、麻布大学動物応用科学科の菊水健史氏らは「人と犬とが互いの目を見つめ合うと、愛情ホルモンのオキシトシンの分泌が促進される」とする研究論文を米国の科学誌『Science』発表した。人と犬がアイコンタクトしつつ、数百年にわたって信頼と親密さを深めながら歩んだ長い道のり物語っている。
(文=編集部)

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