心理的口臭症も治療できる
どんな人でも、1日の中で何回か口臭がきつくなることがある。起床時はその典型だ。ただし、唾液がサラサラと流れればすぐに解消され、多くの人は気にしない。ところが、10人に1人ぐらいの割合で、自分の口臭が気になって日常生活に支障をきたしてしまう人がいることは前回も述べた。
「人間は、こだわると、閾値(感じる最小値)が下がるのです。たとえば、ソムリエや料理人は、一般人よりもわずかな味の違いを感じることができます。これと同じように、心理的口臭症の患者さんは、一般人よりも臭いに敏感です」
「ほんだ式口臭治療」では、あらかじめ患者に生活調査票を記入してもらい、それに基づいて問診を行なう。そして「口腔内診査」「唾液検査」「ガス検査」「尿検査」「自律神経の分析・ストレス度分析・心機能・血管の状態検査」「心拍間変位度分析」「抹消血液循環検査」など、数々の検査を行う。
「心理的口臭症の患者さんは、原因がわかると不安がなくなります。その原因を上手に認知してもらうことが大切です。ただ医学的に説明するだけではうまくいきません」
その上で、唾液の無臭化、さらには、舌の動きを意識する指導をすることによって、唾液が口腔内をサラサラと流れ、口腔内の自浄性を維持して口臭のセルフコントロールができるようになります。
セルフコントロールは、心理的口臭症に悩む人だけでなく、普段はそれほど口臭を気にしていない人でも興味がわくところである。第3回は、誰でもできる口臭のセルフコントロールについて話を聞く。
(取材・文=増澤曜子)