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【シリーズ「生活保護受給者のギャンブルは許されるか?」第1回】

税金の“フリーライダー”? 差別を助長!? 別府市が「生活保護受給者」のギャンブルに介入

生活保護法に定められた義務とは?

 もっとも、生活保護の運営の根拠となっている生活保護法には以下のような条文があり、あるいはこれはパチンコなどのギャンブルを禁じる論拠となると言えるかもしれない。

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生活保護法 第六十条
被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。
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 保護者に対する指導については、次のように定められている。

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生活保護法 第二十七条
保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。
2 前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最小限度にとどめなければならない。
3 第一項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。
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 まさに、今回の生活保護受給者へのパチンコをはじめとしたギャンブルに関する指導をめぐる論議は、それが「必要の最小限度」の範囲内か、そして「被保護者の意に反した強制」かどうかをめぐってなされているといっていい。生活保護の運用をめぐるこの論議は、まだ続きそうだ。


里中高志(さとなか・たかし)
1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉士。フリージャーナリスト・精神保健福祉ジャーナリストとして、『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

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