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女性も20代後半からオヤジ臭(加齢臭)が発生! 換気が悪い冬こそ気をつけたい「体臭対策」とは?

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女性も20代後半から「おやじ臭=加齢臭」が!(shutterstock.com)

 満員電車、オフィス、対人折衝……。冬場は、いわゆる「オヤジ臭」に悩まされる場面が少なくない。主として中高年に特有の「オヤジ臭=加齢臭」は、男性だけでなく女性にもある。今回は加齢臭の撃退対策を話そう。

 まず加齢臭の原因は何か? そこから探っていこう。

冬場の加齢臭の犯人は「2-ノネナール」

 2001年4月、資生堂リサーチセンターの土師信一郎研究員らは、国際研究皮膚科学会の『Journal of Investigative Dermatology』誌に「高齢者の体臭の原因の一つは、2-ノネナール(C9H16O)。体臭も加齢によって変化する」と発表した。

 皮膚にある皮脂腺は、肌に潤いと柔軟性を与え、肌荒れや水分蒸発を防ぎ、皮膚を守る皮脂を分泌している。だが、皮脂の主成分である中性脂肪(トリグリセリド)は加齢とともにパルミトオレイン酸などの過酸化脂質に変質するため、主に男性は40歳代以降、女性は閉経後に青臭さと脂臭さを合わせ持つ体臭成分の2-ノネナールが増える。

 2-ノネナールの発生原因となる9-ヘキサデセン酸は無臭だが、酸化するとローソクやチーズ、古本のようなニオイを発する。つまり、2-ノネナールが多くなると、皮脂に汗のニオイが混ざり、中高年特有の体臭に変わる。これが加齢臭の正体だ。

20代後半になると女性ホルモンが減少しノネナールが急増

 酸化力が強い活性酸素は、加齢、ストレス、生活習慣の乱れなどによって急増するため、2-ノネナールが発生しやすくなる。とりわけ女性は、20代後半になると女性ホルモンの分泌量が減少し、皮脂腺から分泌される9-ヘキサデセン酸の分泌量が多くなりやすい。2-ノネナールの発生を抑え、加齢臭を緩和するためには、男性も女性も、生活習慣を整えつつ、活性酸素の働きをコントロールすることが最も肝要だ。

 たとえば、肉食過剰の食生活を改善する、身体を清潔に保つ、適度な運動をする、ストレスをためない、禁煙する、アルコールを摂りすぎない、紫外線を避けるなど。体温が下がり、免疫力が弱まる冬場は、とくに抗酸化作用が強い食べ物を積極的に摂りたい。

 公益社団法人日本栄養士会が推奨する抗酸化作用が強い食べ物の例を挙げておこう。ビタミンE(カボチャ、ほうれん草、アーモンド)、ビタミンC(ブロッコリー、小松菜、かんきつ類)、βカロテン(緑黄色野菜)、アントシアニン(赤ワイン、ブルーベリー、黒豆)、イソフラボン(納豆、豆腐)、カテキン(りんご、緑茶)、ケルセチン(たまねぎ、レタス、ブロッコリー)、ルチン(お蕎麦)、クロロゲン酸(コーヒー、なす)、エラグ酸(イチゴ、ラズベリー、ザクロ)、セサミン(ゴマ)、クルクミン(ウコン、カレー粉、しょうが)、リコピン(トマト、スイカ)、ルテイン(ほうれん草、とうもろこし、ブロッコリー)、カプサイシン(赤ピーマン、赤トウガラシ)、フコキサンチン(海藻類)など。すぐに手に入るものばかりだ。今日からでも欠かさず食べてほしい。

本田俊一(ほんだ・しゅんいち)

日本口臭学会常任理事・指導医、医療法人ほんだ歯科理事長・院長。1980年、山口大学農学部獣医学科卒業後、厚生省(現・厚生労働省)に入省、8年にわたり検疫業務に携わる。業務の傍ら大阪大学微生物病学研究所において腸管感染症の基礎研究も行なう。退官後、大阪大学歯学部に学士編入し、卒業後、歯科医院勤務を経て、95年、ほんだ歯科を開業。97年、医療法人ほんだ歯科を設立。歯科医師として臨床に携わることで口臭に悩む患者の多さを目の当たりにし、「口臭・口臭症」の研究に取り組む。2000年には口臭のデオドラント技術および口臭症治療に関するプロトコル「ほんだ式口臭治療」を確立。口臭に関する第一人者として知られる。

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