ほかにも、誤解されがちなオーラルケアの「NG」を紹介する。
●歯磨き剤をつける前に歯ブラシを濡らす……×
歯磨き剤の泡立ちが良くなりすぎて「磨いた気分」になり、磨き残しができやすい。また、含まれる研磨成分も水で流れてしまう。乾いたままの歯ブラシにつけて磨くのが正解。
●最後に歯磨き剤が残らないよう水でよくすすぐ……×
しっかりすすぐと、歯磨き剤に含まれるフッ素などの有効成分もすべて洗い流してしまう。歯磨き後はうがいをしなくてもOK。気持ち悪い場合は、一度唾液を出して水(小さじ2くらい)で軽くすすぐ程度で十分。
●食後はできるだけ早く歯を磨く……△
「食後は口内細菌が爆発的に増えるので、なるべく早く」とする説と「食べカスが歯垢になるまで時間がかかる」「食後の唾液が出やすい状態は、口内の中和と歯の再石灰化を進める」とする両説がある。
今後の研究でセオリーが変わりそうだ。ただし前記のように酸性の食品を多く摂った直後は、エナメル質が溶け出す「酸蝕」の状態になっているため、すぐに歯を磨くと表面を傷付けてしまう。口をすすぐだけで済ますか、すすいだ後1時間以上経ってから歯を磨こう。
●朝食を食べてから歯磨きをする……×
起床直後の唾液は、口内細菌や、一晩かけて細菌がつくり出した「内毒素」でいっぱいに。これは、組織や骨まで破壊する威力を持つ。つまり、起床後に歯を磨かずに朝食を摂るのは、食べ物と一緒に毒素を体内に取り入れるに等しい。朝の歯磨きは起きてすぐが鉄則だ。
●1日3回、必ず3分以上かけて磨く……△
大切なのは回数ではない。虫歯の原因となる細菌が増えるのを防ぐタイミングで磨くこと。口腔内に細菌が最も繁殖しやすいのは、唾液が減って口の中が乾燥する就寝中だ。夜の歯磨きを重点的に捉え、就寝前に時間をかけてじっくり磨くほうが効果的だ。
最後に何より大切なのは、定期的な検診を受けること。「予防歯科」がもっと当たり前のものになれば、歯周病予防にもなる。一度プロの指導を受けて、自己流のオーラルケアを見直してみてはいかがだろうか。
(文=編集部)