MENU

福祉車両は高齢化社会の必需品! 税制優遇措置でさらなる普及が見込まれる

 福祉車両は普通の自動車よりも高額ではないか? というイメージがあるようだ。そんなことはない。自動車メーカーと役所の努力によって、購入時の消費税が免除されているからだ。車両本体と福祉車両への架装費用のすべてが非課税となる。たとえば、150万円の車両価格の自動車に、80万円で回転スライドシートを設置したとすると、合計230万円が非課税となる。

 これは、日本の自動車メーカーでつくる一般社団法人自動車工業会(JAMA)が福祉車両の普及と啓発の活動を展開し、税の減免などについて行政に働きかけた成果だ。こうした努力の結果、日本の障害者は、福祉車両を使えば日本中どこにでも移動できる自由を獲得したと言えるだろう。

 筆者は以前、オーダーメイドのキャンピングカーを製造販売する会社に勤務していた。その際、人工呼吸器によって24時間呼吸を確保しなければならない、重度の身体障害のあるお子さんをもった家族からの依頼を受けたことがある。天井しか見たことがない息子と、アウトドアを楽しみたいという希望だった。

 車椅子の昇降リフトを設置したトヨタのワンボックスカー、ハイエースを納車しに行くと、ご家族の方が本当に喜ばれた。ハイエースの広い車室空間に車椅子の位置を決めて、人工呼吸器の設置場所を用意する。そして、運転中に両親が子供の表情が見えるようにした。福祉車両というものがなかった時代には、諦めていたことが実現できるようになったのだ。

 超高齢社会になった日本は、自力で移動できない人が激増する社会になると予想できる。高齢社会が進行するほど、福祉車両のユーザーは増えていく。そのとき、さらに進化した福祉車両が開発されることを期待してやまない。
(文=石井政之)

関連記事
アクセスランキング
専門家一覧
Doctors marche