人工音声が単調なリズムで、「コンニチハ、オゲンキデスカ?」と話したとしても、“その人らしさ”はなかなか伝わりづらい。話している方にも違和感が生じ自分としてのアイデンティティが揺らぐ。
私たちは、人間としてコミニュケーションをとりたいと望み、そのためには“その人らしさ”が必要であり、それは容姿、表情、肉声などさまざまな要素の集合体なのだ。ひとつでも欠けてしまうと、その人らしくなくなってしまう。
誰もが自分の本当の声でコミニュケーションをしたい――。この課題の解決が急がれていた。患者本人の肉声を再現して、他者とのコミニュケーションをつくっていくこうした動きは、IT技術によって可能になってきた。
つんく♂のメッセージは司会者が代読したが、どれほど自身の肉声でのメッセージを望んでいたかは想像に難くない。つんく♂は歌手であり、声を失う前の肉声の録音データが大量にある。このシステムで再びわれわれの前に言葉を発して欲しい。
(文=編集部)