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【シリーズ「子どもの心と体の不思議のサイエンス!」第10回】

赤ちゃんの脳の「感受性期」には個人差がある! シナプスの刈り込みが悪いとADHDに!?

 主な能力の感受性期は、言語能力0〜8歳、視力0〜2歳、運動能力0〜4歳、音感能力3〜9歳、論理的思考力1〜4歳と言われている。感受性期は個人差があり、その能力を獲得する時期に大きなばらつきがある。

 たとえば、人間以外の動物を思い出そう。馬や牛の赤ちゃんは、生まれるとすぐに自分の足で立ち上がろうとするが、人間の赤ちゃんは、立ち上って自力で歩くまで、およそ1年の歳月がかかる。

 赤ちゃんの脳は、立ち上がって歩くまでの1年間、自分の生育環境でどのような態勢で立ち上がれば効率がいいのか、どのような体の機能を組み合わせて歩けば適切かを考えている。

 この時、脳のシナプスは、作られたり、壊れたりしている。シナプスはスクラップ・アンド・ビルドを繰り返しつつ、赤ちゃんの成育環境に最も適した能力が何かをよく考えたうえで、赤ちゃんが生きるために必須になる基本能力を巧みに選択している。それが、感受性期なのだ。

 また、赤ちゃんは、お母さんと会話できるようになるまでに、およそ3年かかる。この3年間、赤ちゃんの脳は、言語を習得して自由に操れるようにするために、シナプスの過形成と刈り込みを着々と実行しながら、複雑な神経回路をじっくりと作っている。

 赤ちゃんの生育に外からの適度な刺激は必要だが、過度な刺激が与えられると、シナプスの過形成と刈り込みのバランスが乱れ、情報伝達の効率化が妨げられる。

 赤ちゃんの脳は、シナプスの過形成と刈り込みのグッドバランスを保ちつつ、感受性期という”揺りかご”の中で、赤ちゃんの健やかな成長をずっと見守ってくれている。
(文=編集部)

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