さらに、音楽のジャンルについての実験も行われ、さらに興味深い結果が得られた。
それによると、カントリーミュージックを聞いた被験者は、実用品が買いたくなったという。歯ブラシや鉛筆、液体石鹸など、スーパーマーケットで売っているようなものである。ところが、ベートーベンやプッチーニなどクラシック音楽を聞いた被験者は、自分の「好み」や「らしさ」を示す商品、たとえば、ブレスレットや香水、タトゥーシールなどが買いたくなったという。おまけに、同じ品物にいくら払うかを尋ねると、クラシック音楽を聞いた人のほうが高い金額を払ってでもいい気分になりたいのだそうだ。
つまり、スーパーマーケットでクラシック音楽を流しても、洗剤の売り上げはあがらないし（松坂牛肉は売れるかもしれないが）、宝石店でカントリーミュージックを流してもお客さんの心を貴石の輝きでぼーっとさせるのは難しいということだ。
それにしても、BGMにはあなどれない力がある。もし、外食しようということになって、あなたはカレーが食べたいのに相手はラーメンがいいと言い張ったら、さりげなくBGMをインド音楽に変えてみよう。相手はいつのまにか、本格インドカレーが食べたい気分になっているだろう。
（文＝編集部）
