日本で水中出産が広まったのは、1980年代初頭といわれている。性と健康を考える女性専門家の会が2000年に行った調査によれば、当時の日本ではすでに1900件を超える水中出産が報告されていたという。
母親たちがこぞって水中出産を選んだ理由には、水の浮力でお産の痛みが緩和されることや、体位が自由に取りやすいこと、お風呂に浸かっているようなリラクゼーション効果が得られることなどが挙げられる。
出産といえば、自然分娩。分娩台で妊婦がいきみ、激しい痛みとともに出産するというのが一般的である。女性たちのなかに、できるだけそれを和らげたいと思う人が現われるのは自然なことだ。
また、アメリカの産婦人科学会と小児科学会の報告によれば、産痛の緩和のほか、分娩の初期である第1期の時間が約30分短縮されることや、麻酔の使用が90%に減るなどのメリットもあるという。
だが一方で、水中出産で母体や新生児にトラブルが起きていることにも注目したい。