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【特集 芸能人の復活リハビリ物語その4】

前十字靭帯と半月板損傷から復活したフィギュアスケートの高橋大輔選手のリハビリ

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2008年10月、右足膝の前十字靭帯と半月板を損傷した高橋大輔選手(写真は公式HPより

 男子フィギュアスケートのエース・高橋大輔選手が、2008年10月末の練習中に右足膝の前十字靭帯と半月板を損傷し、2008年から2009年のシーズンの全大会の出場を断念して11月に手術。怪我のニュースは、フィギアファンだけでなく日本中に衝撃を与えた。

 高橋選手は長く苦しいリハビリを終えて、全日本選手権で優勝と奇跡の復帰を遂げる。その後、バンクーバーオリンピックでは日本人シングル初のメダルとなる銅メダルを獲得。世界選手権では日本人初の世界チャンピョンとなり、ソチオリンピックでは有終の美を飾った。高橋選手の栄光を支えたのは、前十字靭帯と半月板を損傷してからの彼の精神力の強さも多いに影響しているといえるだろう。

重症の場合には日常の動作でも発症してしまう

 高橋選手の怪我により、前十字靭帯が広く知れ渡るようになった。主な症状を、スポーツ医学専門クリニック「みどりクリニック」の瀬戸口芳正先生が次のように語る。

 「前十字靭帯は大腿骨と脛骨(すねの骨)の間の膝関節の中にある靭帯で、大腿骨に対して脛骨が捻れたり、前方にズレないように安定させる役割があります。損傷といっても、靭帯が完全に切れてしまう完全断裂と一部分だけが切れるような不全断裂がありますが、いずれにしても前十字靭帯がその役割を果たしていない場合には、膝がズレているという症状と痛みが出ます」

 「膝がガクッと外れた」と表現することが多い前十字靭帯は、膝が腫れて水が溜まったり、膝が曲がらない、伸びないといった状態になる。スポーツなど膝に負荷がかかる場面で特に問題となる。

 「重症の場合には階段や歩行など日常の動作でも同様の症状が起こり、膝が繰り返しズレることで関節の軟骨や半月板まで損傷させるので、痛みも出ます。長期間放置しておくと、関節が変形してしまい普通に歩くことも困難になってしまうこともあります」

 前十字靭帯損傷の診断は、まずMRIによる所見が挙げられる。

 「MRIによる画像診断が最もわかりやすく有用です。MRIでは任意の角度から膝を輪切りにしたような画像が撮影でき、前十字靭帯に沿って断面にした画像を見ると、断裂しているかどうかが判断できます。また、完全に断裂していない場合では、ピーンと張っているはずの靭帯が撓んでいたり、色の変化(輝度)によっても損傷があるがどうか判断できます」

 もちろん医師による膝のゆるみの検査も行われる。

 「医師が膝に触れて脛骨を前方に引き出したりするような徒手検査を行い、膝のゆるみを確認することで前十字靭帯の機能が損なわれていないかを判断します。怪我の診断は、どれか一つの所見で診断することはなく、患者の訴える症状や怪我をした状況などを踏まえて総合的に行います」

手術を選択する条件とは?

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