ちょっとしたことで骨折に!? shutterstock.com
超高齢社会に突入し、女性特有の病気である骨粗鬆症(こつそしょうしょう)に注目が集まっている。骨粗鬆症とは、加齢とともに骨に小さな穴が多発し、脆(もろ)く、折れやすくなる病気のこと。なんと、患者の約8割が女性だ。日本国内では高齢女性を中心に年々増加しており、自覚症状のない未受診者を含めると、推計で1100万人超にもなる。
2013年度の厚生労働省の発表によると、日本人の健康寿命(平均寿命から認知症や寝たきりなどの介護期間を除いた健康で暮らせる年齢)は、男性が71.19歳(平均寿命は80.21歳)、女性が74.21歳(平均寿命86.61歳)。平均寿命は世界トップクラスだが、平均寿命と健康寿命の差が、女性の場合は10年以上もある。これは長生きしても要介護の期間が長いということを意味する。その原因のひとつとなっているのが骨粗鬆症だ。
40歳以上の女性5人に1人は骨粗鬆症!?
健康診断を受けるたびに、身長が低くなったと溜息をつく50代の女性は少なくない。そのような症状は、すでに骨粗鬆症にかかっている証拠だ。
骨粗鬆症は、初期段階にはほとんど症状がないのが特徴だ。2段階に進むと、身長が縮んだ、背中や腰が曲がったように感じる、立ち上がると腰が痛い、背中や腰の痛みで日常生活が辛いなど、軽度の自覚症状を感じる。背が低くなったり、腰が曲がったように感じるのは、骨粗鬆症により脊椎のどこかが圧迫骨折を起こした可能性がある。
3段階になると、身長の委縮が目立ち、背中や腰も曲がり、そのために寝ていることが多くなる。転んだだけで骨折してしまうのも、この段階だ。4段階になると転倒による骨折などで入院する時間が長くなる。骨折の部位や度合によっては、命にかかわることもある。5段階になると、身体機能が低下して要介護や認知症をきたすこともあり、生活の質が著しく低下する。
国立長寿医療センター整形外科の竹村真理枝氏の調査によると、40歳以上の女性の腰椎における骨粗鬆症有病率は18.7%、大腿骨頸部は15.0%。つまり、40歳以上の女性の約5人に1人は骨粗鬆症ということになる。