体内時計のズレを正す、もうひとつのカギが「食事」だ。時差ボケのように、光がむしろ体内時計を狂わせる原因となっているときは、食事が重要になる。
特に重要なのが朝食だ。体内時計はどのようにして、その食事を「朝食」と判断するのか? それは「断食時間」である。英語で「朝食」は「breakfast」、つまり「断食(fast)を破る(break)」という意味だが、まさに朝食は、睡眠によって長時間の断食をした後の食事である。
たとえば、日本を夜8時に出発し、ハワイに朝9時に到着する飛行機の場合、離陸後、機体が落ち着いた頃(日本時間の夜9時、ハワイ時間の深夜2時)に夕食の機内食が出され、ハワイに着く直前(日本時間の深夜2時、ハワイ時間の朝7時)に軽食が朝食として出されることが多い。夕食から朝食まで約5時間しか間が空いていないので、これでは長時間の断食にならない。
しかし、離陸前、日本時間の夕方6時に夕食を食べ、最初の機内食をパスしておけば、朝食までに8時間の断食ができる。そして、機内ではできるだけ寝るようにする。日本時間の夜8〜9時では、なかなか眠気は来ないだろう。寝ようと頑張るとむしろ眠気は逃げていく。眠れなくてもいいので、体に夜だと思わせるために、しっかり光を遮断できるアイマスクをつけて静かに過ごそう。そして、夕食の機内食が配られるときに起こされないために、乗務員には事前に機内食不要を伝えておこう。帰国の際も同様に、到着する日本時間から逆算して夕食を食べ、断食の時間を空けて朝食を食べるように心掛けよう。
食事のメニューは、炭水化物、脂質、たんぱく質という三大栄養素がバランスよく取れることが理想的だ。夕飯は体内時計をあまり動かさないGI値(グリセミックインデックス値)が低い玄米や全粒粉パンなどがいいが、朝食は体内時計を大きく動かす高GI値の白米や白いパンがいい。機内食のメニューが選べるときは、肉よりも魚を選ぼう。魚の脂には体内時計を大きくずらす効果があるからだ。
ハワイ以外のときも、基本的に現地時間の朝に朝食を食べるように計算する。ちょうどいいタイミングで機内食が出ることを望めない場合は、軽食を持って飛行機に乗ろう。軽食を持ち込むときはシリアルバーなどが手軽でかつ栄養バランスがいい。朝食の前の断食時間がポイントだということを忘れないように!
(文=編集部)