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コンビニ弁当の"マル適マーク制度"がなぜか突然の中止。国民の健康が弄ばれる!?

 こうした構造は4月1日にスタートしてしまった「機能性表示食品制度」でもまったく同じだ。健康食品の安全性評価については、これもメーカーの届出だけで済んでしまう。届出者がこれまでの販売実績をもって食経験ありとすれば、安全性評価はそこで終了する。消費者庁に書類を揃えて出せば、その内容は実質的には審査されない。企業のモラル頼みだ。そんなモラルは信じていいのか? 何より国のアリバイ作りと企業への利益誘導としか考えられないのではないか。

 そもそも「健康な食事」制度の基準は何のために策定されているのか?

 これまで11回にわたって議論されてきた「日本人の長寿を支える『健康な食事』のあり方に関する検討会」の第1回では、委員の1人である東京大学大学院教授の佐々木敏氏が検討会の基本的な必要性の根拠とも取れる資料「日本人の長寿を支える『健康な食事』」を説明した。

 この中では、健康的な食事の例として地中海食をとりあげ、糖尿病や心筋梗塞の発症率が率いことを説明しながら、米国政府の食事ガイドラインの報告書(2010年)の記述を引用している。

 これによると、「(アメリカで成果を上げている高血圧の人向けの)DASH(dietary approach to stop hypertension)食や地中海食を支持する事実に比べると、日本食に関するエビデンスは、健康的利点を示す易学的研究や臨床介入研究の報告のみならず、その食構成に関する詳細な報告も乏しい」と指摘されているというのだ。

 だから日本食に「健康な食事」制度の基準が必要なのだろうか? もしかしたらたったこの一文だけで、厚労省は健康な食事の基準作りに取り組み始めたのではないのか? 普通であれば「放っておいてくれ! アメリカの糖尿病ランキングは日本よりずっと上だろう!」と言いたいぐらいだが、厚労省やこの動きに動員された専門家達は本当に国民の健康と長寿を考えているのか? そんな疑問を十分に抱かせる制度の突然の中止の顛末だ。
(文=編集部)

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